日本で賃貸住宅を借りる際、「連帯保証人」の提出を求められることは珍しくない。これは、日本における賃貸契約の慣習であり、家賃の滞納や契約違反があったときに、保証人が代わって責任を負うという仕組みである。
しかし、外国籍の方にとって「日本国内に保証人がいない」という状況はごく一般的である。親や親族は国外に住んでいることが多く、日本語を話せる保証人を見つけるのは簡単ではない。
では、保証人がいない場合、部屋を借りることはできないのか? 結論から言えば、適切な対処法をとることで契約は十分可能である。
本記事では、外国籍の方が保証人を立てられない場合に取れる現実的な3つの対処法と、それぞれのメリット・注意点を紹介する。
対処法1:家賃保証会社を利用する
現在、日本の多くの物件では「家賃保証会社(保証サービス会社)」の利用が主流になっている。これは、保証人の代わりに保証会社が家賃の支払いリスクを引き受ける仕組みで、外国籍の入居者にも広く対応している。
どういう仕組み?
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入居者は、保証会社に保証料を支払う(初回は家賃の30〜100%、年間更新料あり)
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家賃滞納が発生した場合、保証会社が一時的に立て替える
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後日、入居者は保証会社に返済する義務がある
メリット
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保証人が不要で契約が可能
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日本語が苦手でも、外国人向け対応をしている保証会社がある
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多くの不動産会社が提携しており、選択肢が広がる
注意点
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保証料は契約時・更新時に発生する(追加費用がかかる)
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保証会社の審査に落ちることがある(収入や在留資格を確認される)
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支払いが遅れると、すぐに連絡や請求が来るため、返済能力が問われる
保証会社を利用することで、多くの物件に申し込むことが可能になるが、「保証料」の支払いを含めた資金計画を事前に立てておくことが大切である。
対処法2:外国人サポートに積極的な不動産会社を選ぶ
日本には外国籍の入居者を積極的に受け入れている不動産会社が多数存在する。とくに東京・大阪・名古屋・福岡などの都市部では、英語・中国語・韓国語・ベトナム語・タイ語など、多言語対応のスタッフが常駐していることも多い。
どう探す?
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「外国人 部屋探し」「foreigner friendly apartment Tokyo」などのキーワードで検索
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外国人専用の賃貸サイト(英語・多言語対応)を利用する
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在日外国人向けコミュニティやSNSグループで紹介してもらう
メリット
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保証人がいないことを前提に、保証会社を使った契約を案内してもらえる
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書類の準備や申請を丁寧にサポートしてもらえる
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入居後のトラブル時にも言語サポートがあるケースがある
注意点
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対応地域や物件の種類に偏りがある(都市部に集中しやすい)
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英語対応だからといって、すべての手続きを完全に任せられるわけではない
外国籍の入居者が多いエリアや、グローバル人材が住む地域では、外国人の契約に慣れた不動産会社が数多く存在する。保証人がいないことも最初から正直に伝えることで、スムーズな提案が受けられる。
対処法3:保証人代行プラン付き物件を選ぶ
近年では、「保証人不要・保証会社費用込み」のパッケージ物件や、「外国人入居者向けの家具付き・保証人不要」物件が増えてきている。特に短期契約、家具家電付きのマンスリーアパートやシェアハウスに多く見られる形式である。
特徴
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初期費用に保証会社の手数料が含まれている
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一部はクレジットカード決済対応で保証料が不要になることもある
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契約手続きがシンプルで、日本語が苦手でも入居しやすい
メリット
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保証人がいなくても、物件によっては即日契約も可能
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家具付きのため、引越し費用も抑えられる
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一時滞在や試験的な居住に向いている
注意点
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長期的には家賃が割高になりやすい
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契約期間の延長や更新手続きに制限があることもある
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プライバシーや生活音の制限がある物件も多い(特にシェアハウス)
「今すぐ住まいが必要だが保証人がいない」という方にとって、有効なスタート地点となる選択肢である。
保証人がいなくても、住まいは見つけられる
外国籍で保証人がいないという理由だけで、賃貸契約をあきらめる必要はない。むしろ、現在の日本の賃貸市場では、保証会社の活用や多言語対応の進展によって、以前よりもはるかに柔軟な対応が可能になっている。
以下のポイントを押さえて動けば、信頼される入居者として契約が進められる可能性は十分にある。
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正確な在留資格・勤務先・収入情報を提出できるようにする
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連絡が取りやすい国内の緊急連絡先を用意しておく
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保証会社・外国人対応の不動産会社・保証人不要物件をうまく活用する
日本での新しい暮らしを安心してスタートさせるために、「保証人がいない」という不安を、適切な準備と情報で乗り越えていこう。