2025/06/19
家賃の相場はどう決まる?エリアと築年数の関係

日本で部屋を借りるとき、最初に気になるのが「家賃の目安」である。同じ広さや間取りでも、エリアや建物の築年数によって家賃は大きく変わる。インターネットで検索していると、似たような物件なのに家賃が2万円以上違うこともあり、なぜその価格差が生まれるのか不思議に感じる人も少なくない。

家賃の相場は単に広さや間取りだけで決まるものではない。駅までの距離、周辺環境、建物の構造、設備の充実度、築年数、地域の需要と供給のバランスなど、複数の要素が重なり合って設定される。

この記事では、家賃の相場がどのように決まるのか、特にエリアと築年数という2つの重要な要素に焦点を当てて、実務的に整理していく。

エリアによって家賃が変わる理由

同じ都道府県内でも、都市中心部と郊外では家賃に大きな差がある。これは、利便性、需要、地域価値の違いが大きく影響している。

たとえば、主要な駅や商業施設、オフィス街、大学、外国人向けのサービスが集まっているエリアでは、需要が集中しやすいため、家賃が高く設定されやすい。一方、電車やバスでの移動に時間がかかる郊外では、同じような広さでも家賃は抑えられている傾向がある。

交通の利便性も家賃に強く影響する。駅から徒歩5分の物件と徒歩15分の物件では、徒歩時間が長くなるほど家賃は下がる傾向にある。エレベーターの有無や坂道の多さなども評価に影響を与える。

また、地域の治安や教育施設、医療機関、買い物のしやすさなども家賃に反映されている。外国籍の人が多く住む地域では、多言語対応の施設や文化的な受け入れ体制が整っている一方で、そうした配慮が反映されて家賃が高めに設定されることもある。

築年数が家賃に与える影響

一般的に、築年数が経過するほど家賃は下がる傾向にある。これは、建物や設備の老朽化が進むことで、快適性や安心感が減少するという理由によるものだ。

たとえば、築1年から5年の新築または築浅物件では、最新の設備、耐震基準、断熱性能、デザインなどが備わっているため、同じ間取りでも家賃は高めに設定されている。入居者にとっては「きれい」「安心」「現代的」というイメージがあり、それが価格に反映されている。

一方、築20年、30年を超える物件では、家賃が大きく下がることがある。内装がリフォームされていても、建物全体の構造や給排水設備が古いままということもあり、借主にとってはメンテナンスや生活快適性に不安が残る。

ただし、築年数が古くても管理状態が良好な物件や、近年リノベーションが施された物件は、家賃があまり下がらないケースもある。建物の見た目ではなく、管理の質や設備の更新状況を確認することが重要である。

エリアと築年数が交差する「価格バランス」

エリアと築年数のバランスをうまく取ることで、同じ予算でもより良い物件に出会える可能性が高くなる。たとえば、都市中心部で築20年の物件と、郊外で築5年の物件が同じ家賃で掲載されていることもある。

どちらを選ぶかは、通勤・通学の距離、生活スタイル、設備の重視度、子育ての有無、日本語力などを踏まえて判断することになる。新しさを重視するなら築年数の浅い物件、アクセスや街の魅力を重視するなら中心部の古めの物件も選択肢となる。

外国籍の人にとっては、英語対応の病院や役所が近い、外国人向けサービスが豊富、といった点が安心材料になることもあるため、家賃と築年数のバランスを単純な比較だけでなく「生活のしやすさ」という視点でも評価したい。

家賃に影響するその他の要素

エリアと築年数以外にも、家賃を左右する要素は複数ある。物件を比較する際には、以下のような点も意識しておくとよい。

間取りと専有面積
同じ1LDKでも、面積が30平方メートルか40平方メートルかで価格が大きく異なる。部屋の広さだけでなく、収納スペースやバルコニーの有無も評価に影響する。

建物の構造
鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、遮音性や耐久性が高く、木造に比べて家賃が高く設定されやすい。

設備の充実度
オートロック、防犯カメラ、エアコン、浴室乾燥機、ウォシュレット、インターネット無料などの設備がある場合は、家賃に反映される。

管理体制
管理人の常駐や清掃の頻度など、共用部分の管理が行き届いている物件は、家賃が高めでも選ばれやすい傾向がある。

賃料の妥当性を見極めるためにできること

インターネットの物件情報サイトには、多くの物件が掲載されているが、家賃の「相場」を把握するには比較の視点が欠かせない。同じエリア、同じ間取り、同じ築年数の物件を複数見比べることで、どの物件が高めか、相場内かが見えてくる。

また、不動産会社に対して「この条件で相場はいくらくらいか」「周辺と比べて高いのはなぜか」などを質問することで、家賃の内訳や交渉の余地を探ることもできる。

外国籍の人が部屋探しをする場合、自国の不動産事情と大きく異なる部分があるため、相場を知ることがトラブル防止の第一歩となる。見た目の安さだけでなく、立地・建物の状態・将来の住みやすさなどを含めて総合的に判断することが、納得できる住まい選びにつながる。