2025/06/19
家賃交渉はいつ・誰に・どう言うべきか?

部屋探しをしていて「この物件に住みたいけれど、家賃があと少し安ければ…」と思ったことはありませんか?

日本の賃貸市場では、**家賃は“定価”ではなく、“交渉の余地がある価格”**であることも少なくありません。実際、条件やタイミング次第では、家賃が数千円〜1万円程度下がることも十分にあります。

とはいえ、「どうやって交渉すればよいのか」「誰に言えばよいのか」「いつ伝えるべきなのか」が分からず、そのまま契約してしまう人も多いのが現状です。

この記事では、家賃交渉を成功させるための具体的な方法を、「タイミング」「相手」「伝え方」の3つの視点から解説します。


家賃交渉は“いつ”するのが正解?

✅ ベストなタイミング:申込書を出す前

家賃交渉は、申込書を提出する前に行うのがもっとも効果的です。

申込書を提出すると、「この条件で契約します」という意思表示とみなされるため、その後の価格交渉は難しくなる傾向があります。

逆に、「申込を検討しているが、もし家賃が少し下がれば前向きに決めたい」と伝えることで、不動産会社が動いてくれる余地が生まれます。


“誰”に交渉すべきか?

✅ 基本的には「不動産会社(仲介担当者)」

家主(貸主)と直接話すことはほとんどありません。交渉はすべて不動産会社の営業担当者を通して行われます。

そのため、不動産会社の担当者と良好な関係を築くことが交渉成功の鍵になります。

不動産会社の役割は、「借主の希望」と「貸主の条件」の間を調整すること。うまく交渉してもらうためには、強引にならず、丁寧にお願いする姿勢が大切です。


“どう”伝えるべきか?実際の言い回し例

交渉はあくまで丁寧に、かつ誠実に行うのがポイントです。以下に、具体的な言い回しの例を紹介します。

▶ 例①:ストレートに伝える

「この物件をとても気に入っていますが、予算が少しオーバーしています。もし可能であれば、家賃を○○円ほど下げていただくことはできませんか?」

▶ 例②:申込意志とセットで伝える

「こちらの物件に申し込もうと思っているのですが、月々の家賃があと5千円下がれば、すぐに決めたいです。貸主に確認していただくことは可能ですか?」

▶ 例③:周辺相場を根拠に出す

「同じ建物の他の部屋や、近隣エリアでは、これより少し安い条件の物件がありました。相場を参考に、条件の調整はお願いできますか?」


家賃交渉がうまくいきやすいケースとは?

以下のような条件が揃っていると、交渉が成功する確率が高くなります。

状況 なぜ有利か?
空室期間が長い 家主は早く入居者を決めたい
築年数が古い 競合物件と比べられやすく、価格に柔軟性がある
繁忙期を外れている 4〜5月・10〜11月などは、空室が埋まりづらいため妥協しやすい
家主が個人オーナー 管理会社より交渉の裁量がある場合が多い
長期入居の意思がある 家主にとっては安定した収入が見込めるため条件を緩めやすい

家賃交渉に失敗する原因とNG例

❌ 相場より大幅な値下げを要求する

→ 例:「この家賃が8万円なのは高すぎる。6万円なら契約します」
→ 大幅な値下げは貸主側も受け入れにくいため、**現実的な金額(5千〜1万円以内)**を提示するのがコツ。

❌ 上から目線で交渉する

→ 例:「こっちも選んでるんで、下げられないなら他を探します」
→ 不動産会社との関係が悪くなり、他の交渉や提案にも影響が出る可能性がある。

❌ 契約直前や契約後に値下げを持ち出す

→ 契約内容が確定しているタイミングでは、変更は基本的に不可能。


家賃以外の交渉ポイントも活用しよう

もし家賃の値下げが難しい場合、以下のような家賃以外の条件交渉も有効です。

  • フリーレント(入居初月無料)をつけてもらう

  • 鍵交換費用を減額または無料に

  • 管理費や共益費の見直し

  • 家具付きなどの付加サービスを交渉する

  • 敷金・礼金の減額相談


最後に:交渉は「希望」であって「要求」ではない

家賃交渉は、自分の希望を伝える正当な手段です。ただし、それは「権利」ではなく「お願い」であることを忘れてはいけません。

誠実な態度と丁寧な言葉遣いがあれば、不動産会社も前向きに動いてくれることが多く、結果として良い条件で入居できる可能性が高まります。

遠慮せず、でも礼儀正しく。これが、日本の賃貸市場での家賃交渉を成功させる最大のコツです。