「これはホテルじゃない。“住まい”なんです」
そう話すのは、登録者120万人を誇る人気タイ人YouTuber・Nat(30代)。
彼女が表参道の住宅を紹介した動画は、公開からわずか1週間で400万再生を突破。
コメント欄には「夢のよう」「こんな静けさがあるなんて」と驚きの声が並んだ。
しかし驚くべきは、Natがこの“撮影用の家”を自ら購入していたという事実。
タイ、韓国、フランスにも不動産を持つ彼女が、なぜ今「表参道の一軒家」に惹かれたのか。
その背景には、SNSでは見えない“個人としての本音”があった。
■ 「東京にしかない“静かな絵画”を撮りたかった」
Natが最初に東京の物件探しを始めたのは、インスタグラムで“日常の日本”を発信したくなったからだという。
「みんな、日本の観光地は知ってる。でも、日本人が本当に美しいと思って暮らしている場所を見せたかったんです」
彼女が内見したのは、都心を中心に約30軒。
その中で唯一、“音を録音したくなる家”だったのが、表参道の住宅街にある**築浅・木造2階建の一軒家(約85㎡)**だった。
■ 表参道のイメージを覆した“生活の顔”
「表参道って、ファッションや買い物のイメージでしょ? でも、家の中はぜんぜん違った」
- 外からの視線が遮られた坪庭
- 柔らかな光が差し込む障子と無垢材の床
- 床暖房付きのリビングに、小さな畳スペース
- 夕方になると、鳥の声だけが聞こえる
「ここにいると、心が“自分に戻る”んです。だからこの家は、動画用じゃなく、“自分のため”に必要だったと気づきました」
■ YouTubeで“バズった”のは、演出ではなく“リアル”
動画では、Natが日常的に家で料理をしたり、友人と抹茶を点てたり、読書をしたりするシーンが淡々と映る。
その何気ない日々の空気が、多くのフォロワーに刺さった。
- 「都会なのに、こんなに静かなんて信じられない」
- 「家にいる時間がこんなに美しく撮れるなんて」
- 「ライフスタイルがコンテンツになる国、それが日本だとわかった」
「特別なことはしていない。でも、この家が“映る空気”を持っている。私は、その空気を借りているだけ」
彼女はそう言って笑った。
■ “買って終わり”じゃない、ストーリーとしての不動産
Natは、この家を“10年後の自分の作品”として保有するという。
- 家具や照明、食器を少しずつ日本の職人から集めていく
- 地元の人に庭の手入れを教わる
- 家の近くで和菓子作りを学ぶ予定
- フォロワーを限定招待して、定期的な「暮らしのサロン」開催を構想中
「この家を持つことは、“東京で生きる自分”をつくっていくプロセスなんです。だから、売る気も貸す気もない」
不動産を“事業”ではなく、“自分の表現”とする彼女の姿勢が、海外の若い富裕層から強い共感を得ている。
■ まとめ──“暮らしの空気”こそが、価値になる時代
Natが表参道の家で実現したのは、単なる不動産購入ではない。
それは、人生の一部を“映せる形”として手に入れた行為だった。
豪華さではなく、光の入り方。
広さではなく、風の通り方。
地名ではなく、心が落ち着く時間。
これからの富裕層にとって、不動産は“泊まる”でも“投資する”でもない。
“自分を見つけ直す場所を持つこと”なのかもしれない。