「誰かに見られていない感じがする。それが一番、ほっとしたんです」
そう語るのは、2022年に東京・世田谷区に移住したタイ出身の富裕層女性、Ms. A(30代・投資家)。
東南アジアを拠点に複数のビジネスを展開する彼女は、バンコク・シンガポール・ドバイと世界中に拠点を持つ“グローバルノマド”として知られている。
彼女があえて日本を選び、東京の住宅地に“腰を据えた”理由は何だったのか?
それは、数字や利回りではない。「静かで安全であること」そのものに価値を感じたからだった。
■ 世界を見た上で選んだ“生活の質”
「バンコクは活気があって楽しいけれど、外に出るたびに“緊張感”があったんです。人の目、交通音、警備、距離感…。それが当たり前になっていた」
旅行で何度か訪れていた日本。その印象は、どこまでも「丁寧で、静かで、尊重されている」感覚だった。
- 電車で誰も大声で話さない
- カフェで一人の時間が守られる
- 夜道でも女性が一人で歩ける
- 公園がいつも清潔で子どもたちが安心して遊べる
「海外の不動産は“買って正解”か“失敗”か。でも、日本は“買ったあとに、自分の中のバランスが整っていく”んです」
■ なぜ世田谷区を選んだのか?
港区や渋谷区の高級マンションも内見したが、最終的に選んだのは世田谷区・深沢エリアの戸建て住宅。
それは、“暮らす”という感覚をもっとも感じられる街だったから。
- 緑が多く、朝の空気が澄んでいる
- 富裕層エリアでありながら、生活者としての温かみがある
- インターナショナルスクールまで車で15分以内
- 都心にも30分で出られるが、夜は鳥の声しか聞こえない
「豪華さじゃなくて、“私の人生に合っているか”を見極めたんです。今の私には、騒がしい中心地より、“自分の感情が落ち着く街”が必要だった」
■ 富裕層の“価値基準の変化”を実感
Ms. Aは、移住後に変わったのは「時間の使い方と、自分への意識」だと言う。
- 毎朝、ベランダで季節を感じながらストレッチ
- 週に1度は茶道やフラワーアレンジメントに通う
- 食材や水にこだわり、調味料まで丁寧に揃える
- お金の使い方が“効率”よりも“意味”を重視するようになった
「富裕層であるほど、“お金があるから満たされる”という幻想を捨てていく。それに気づける場所が、日本なんだと思います」
■ 投資ではなく、“拠点”としての日本
購入した物件は築浅の一戸建てで、約2.5億円。維持管理や税制面でも大きな負担はなく、今後は母親や妹も東京に呼び寄せる計画だという。
「不動産としての価値よりも、自分の人生に“静けさ”を持てる場所を買ったつもりです」
さらに、日本の不動産は法律や契約が明確で、外国人でも手続きがスムーズ。複数の海外物件を持つMs. Aから見ても、**“安心して保有できる数少ない国”**だと語る。
■ まとめ──豊かさとは“安心して静かでいられること”
Ms. Aが東京で手に入れたのは、高級住宅でも投資成功でもない。
それは、“安心して、誰の目も気にせず、静かに呼吸できる暮らし”だった。
「成功してわかったのは、“音の少ない家”が人生にどれだけ効くかということ。私は、やっと“暮らす”ということを覚えた気がします」
その静けさが、彼女の人生を支える最も確かな“資産”になっている。