四国・徳島県には、海と山の壮大な自然が生み出す絶景が詰まっている。世界最大級とも言われる「鳴門の渦潮」、そして“日本三大秘境”のひとつに数えられる「祖谷渓(いやけい)」——この2つの景勝地を巡る3日間の旅は、日常を離れ、自然と自分に向き合う濃密な時間になるだろう。
【1日目】大阪・神戸から徳島へ|鳴門の渦潮を体感
旅のスタートは、淡路島を経由して徳島県鳴門市へ。車でも高速バスでもアクセスしやすく、大阪からは約2〜3時間で到着する。
まず訪れたいのが「鳴門の渦潮」。大鳴門橋の真下、鳴門海峡で見られるこの現象は、潮の干満差と地形によって生まれる自然のアート。遊覧船に乗れば、海面すれすれから迫力満点の渦潮を間近に見ることができ、まるで大自然に飲み込まれるような感覚を味わえる。おすすめの時間帯は満潮・干潮時で、事前に潮見表を確認しておくとよい。
その後は「渦の道」へ。大鳴門橋の橋桁内に設けられた展望通路で、ガラス床から渦潮を見下ろすスリリングな体験ができる。夜は鳴門温泉郷に宿泊し、海の幸を使った料理とともに、静かな瀬戸内の夜を堪能したい。
【2日目】徳島市〜祖谷渓へ|秘境へ向かう山の道
2日目は、朝食後に西部の祖谷地方へ向かう。徳島市内から車で約2時間半、吉野川をさかのぼる道中は、山と渓谷の景観が次第に深まっていく。たどり着くのは、切り立った山あいに抱かれた“秘境”祖谷渓。
この地域のハイライトは、シラクチカズラで編まれた「祖谷のかずら橋」。長さ45メートル、谷底からの高さ14メートルの吊り橋は、足元が揺れるたびに自然への畏敬が芽生える。橋を渡りきった後の達成感と風景は格別だ。
午後は「祖谷渓谷展望台」や、険しい山岳地にへばりつくように存在する「小便小僧の像」へ。眼下に広がる深いV字谷と、切り立った崖の絶景は、言葉を失うほどのスケール。祖谷温泉や奥祖谷の宿に泊まれば、源泉かけ流しの湯に浸かりながら、星空と渓谷の静寂に包まれる特別な夜を過ごせる。
【3日目】大歩危・小歩危〜帰路|峡谷美を眺める締めくくり
最終日は、祖谷から近い「大歩危(おおぼけ)・小歩危(こぼけ)」を訪れたい。長年の侵食で生まれた峡谷は、四国山地のダイナミズムを象徴するような風景。遊覧船に乗れば、岩肌の美しさと渓流の透明度を間近に感じながら、自然の静けさに身を委ねることができる。
道中では、徳島の郷土料理「そば米雑炊」や「でこまわし」(こんにゃくや豆腐などを串に刺して味噌だれで焼いた郷土串)などを楽しみながら、旅の締めくくりにふさわしい味覚体験を。
帰路は徳島市方面へ戻り、空港または高速道路から各地へ。時間に余裕があれば、徳島ラーメンの名店に立ち寄って、最後までご当地の魅力に触れてから帰るのもおすすめだ。
絶景と静寂に出会う、徳島3日間の旅
鳴門の海が見せる“動の絶景”と、祖谷渓の山に抱かれる“静の絶景”。それぞれに異なる表情を持つ徳島の自然を巡る3日間は、心と身体を整え、日常の喧騒から一歩離れる時間となる。知られざる四国の奥深さを求めて、次の旅は徳島へ出かけてみてはいかがだろうか。