忙しい日常からほんの少し離れたいとき、遠くへ行くよりも“近場の非日常”を探す旅が、心と身体にちょうどよい。東京・神奈川・千葉・埼玉には、都市の利便性と自然、文化、癒しをあわせ持つスポットが点在しており、週末だけでも心が満たされる時間をつくり出すことができる。
東京では、下町の風情とモダンな感性が共存するエリアが魅力的だ。蔵前や清澄白河などは、古い建物をリノベーションしたカフェやギャラリーが多く、歩いているだけで発見がある。週末は早起きをしてモーニングを楽しんだ後、隅田川沿いをのんびり散策するのもおすすめ。高層ビルに囲まれた日常とは異なる、緩やかな時間が流れている。
神奈川に足を延ばすなら、箱根や鎌倉も良いが、最近注目を集めているのが逗子や葉山といった湘南の奥側エリア。都心から電車で1時間半ほどで、海と山が共存する静かな環境に到着する。海辺のカフェでゆっくり過ごしたり、SUPなどのアクティビティに挑戦したり、リゾート感を味わいながらも、週明けにはすぐに日常へ戻れる絶妙な距離感が魅力だ。
千葉は都心からのアクセスが良く、日帰りでも小旅行気分を味わえる場所が多い。特に外房エリアの一宮や勝浦周辺は、自然に囲まれた宿やオーガニックな飲食店が増えつつあり、都内からの移住者やクリエイターたちが集まる場として注目されている。朝は早起きして海沿いを散歩し、地元の市場で海鮮を楽しむ時間は、贅沢としか言いようがない。
埼玉には、山や川の自然が身近にありながら、文化の香りも感じられる場所が点在している。秩父や長瀞は、電車でもアクセスできる自然派スポットでありながら、温泉や川下りといったアクティビティも楽しめる。春から秋にかけてはラインくだりや渓谷トレッキング、冬には静かな雪景色を背景にした温泉も人気だ。週末ごとに風景が変わる秩父路は、何度訪れても飽きることがない。
さらに川越のように、江戸の町並みを残した街歩きが楽しいエリアもある。菓子屋横丁で昔ながらの駄菓子に触れたり、小江戸と呼ばれる蔵造りの建物をめぐったりと、コンパクトながら内容の濃い旅になる。夜には風情ある宿に泊まり、翌朝の静けさを味わうことで、普段の都市生活とのギャップが心地よく感じられる。
都市に暮らしながら、都市を離れすぎない旅を楽しむ。それは効率的でありながら、精神的にも豊かさをもたらしてくれる。東京・神奈川・千葉・埼玉は、どこも移動の負担が少なく、思い立ったらすぐに出かけられる魅力にあふれている。週末の48時間を最大限に活かすには、こうした“ちょっと先の非日常”が、何より贅沢な選択かもしれない。