2025/06/28
【雪見露天の贅沢】東北のおすすめ温泉宿と電車での行き方

冬の東北は、雪の静けさに包まれた別世界となる。そのなかで味わう雪見露天風呂は、ただの温泉旅行とは一線を画す特別な体験だ。温泉宿に浸かりながら、白銀の景色を目の前に湯けむりをまとえば、心身ともに解きほぐされていく。ここでは、電車でアクセス可能な東北のおすすめ温泉宿と、その行き方を紹介する。

まず最初に訪れたいのは、秋田県の乳頭温泉郷。中でも「鶴の湯温泉」は茅葺き屋根と囲炉裏の残る趣深い宿で、まさに秘湯と呼ぶにふさわしい風情を誇る。乳白色の硫黄泉に身を沈めれば、時間がゆっくりと流れ出す。アクセスは秋田新幹線で田沢湖駅まで行き、そこからは路線バスと宿の送迎を利用する。冬季は積雪のため時間に余裕をもった行程が必要だが、その手間すらも旅の一部になる。

山形県の蔵王温泉も見逃せない。標高が高く、樹氷の景観と合わせて楽しめるのが特徴。宿泊先として人気なのが、歴史ある旅館でありながら、モダンな設備も整った温泉宿が多く、スキー旅行と組み合わせることもできる。東京からは山形新幹線で山形駅へ、そこから蔵王温泉行きのバスでおよそ40分。晴れた日の露天風呂から眺める銀世界は、思わず息をのむ美しさだ。

青森県では、大鰐温泉がアクセスの良さと泉質の良さで知られている。中でも温泉街の高台に位置する宿は、露天からの展望がすばらしく、津軽の雪景色を一望できる。東北新幹線で新青森駅まで行き、奥羽本線で大鰐温泉駅へ。駅から徒歩圏内にある宿も多く、移動が比較的スムーズな点も魅力となっている。

岩手県の花巻温泉郷は、文学や歴史にも彩られた土地で、ゆっくりとした大人の滞在にふさわしい。中でも台温泉や鉛温泉は、源泉かけ流しと雪見露天が魅力の宿が多い。東京からは東北新幹線で新花巻駅まで、そこからはタクシーかバスでの移動となる。地域全体が温泉文化に根付いており、宿の設えや接客にもその雰囲気が色濃く表れている。

最後に紹介するのは、福島県の会津東山温泉。鶴ヶ城や武家屋敷が残る会津若松市内から近く、観光と温泉が一体となった滞在が可能だ。雪に包まれた城下町を歩いた後に入る露天風呂は、まさに時代を超える体験となる。東京からは東北新幹線で郡山駅へ、磐越西線で会津若松駅まで。駅からはタクシーまたはバスでアクセスできる。

東北の雪見露天風呂は、日常から完全に切り離された非現実の世界を体験させてくれる。寒さすらも心地よく感じられるのは、そこに湯のぬくもりと自然の静寂があるからだ。冬の旅において、雪を味方にできるこの時間こそが、東北ならではの贅沢だと言える。