2025/06/19
オートロック物件が安全とは限らない?チェックすべき点

「オートロック付き物件=安心・安全」

そう思って物件を選んでいる人は多い。実際、女性の一人暮らしやファミリー層にとって、外部からの侵入を防ぐセキュリティ機能は重要な判断材料の一つである。

しかし、実際に起きているトラブル事例や管理体制の実態を知ると、「オートロックだから安全」とは必ずしも言えないことが見えてくる。

この記事では、オートロック物件に潜むリスクと、物件選びで必ず確認すべき具体的なポイントを、事実に基づいて整理する。


オートロックの基本機能とは?

オートロックとは、建物のエントランスに設置された電気錠システムで、入居者以外が自由に建物内へ立ち入れないようにする防犯設備のこと。

通常は、以下のような仕組みになっている:

  • 居住者は鍵(ICカードや暗証番号、物理キー)で出入りできる

  • 外部訪問者はインターホンで呼び出し、居住者が解錠する

  • 自動ドアやガラス扉と連動していることが多い

一見すると安心できそうな仕組みだが、構造的・運用的な弱点もあるのが実情である。


「オートロックがあるのに侵入された」ケースはなぜ起きる?

1. 住人の“ついで解錠”

住人が建物に入る際、後ろからついてくる人を気にせず一緒に通してしまうケース。いわゆる「共連れ(ともづれ)」と呼ばれる手口で、オートロックの仕組みを無力化する

2. 宅配業者や営業マンの“常連侵入”

住人になりすましたり、インターホンで適当な部屋番号を押し、誰かが解錠するまで粘ることも。宅配便やチラシ配布を装った侵入例もある。

3. 非常階段や裏口が無施錠

エントランスがオートロックでも、裏口や非常階段が開放されていると、そこから簡単に入られるケースがある。

4. 故障やメンテナンス不良

オートロックが故障したまま長期間放置され、形だけあって機能していない場合もある。とくに築年数が経った物件では注意が必要。


オートロックの“過信”が招く住人の油断とは?

  • ドアチェーンをかけない

  • 室内に鍵をかけ忘れる

  • 宅配便や来客に対して解錠を安易に行う

  • 部屋の窓やベランダの防犯意識が下がる

「オートロックがあるから大丈夫」という意識が、むしろ侵入者にとって“狙いやすい環境”になることもある。


オートロック物件で確認すべき具体的ポイント

1. 非常階段・裏口も施錠されているか?

裏口や非常階段が常時施錠されておらず、外から誰でも入れる構造になっていないかを確認。夜間だけオートロック、昼間は解放という運用の物件もあるため、時間帯の確認も重要。

2. 建物内に防犯カメラが設置されているか?

オートロックと防犯カメラはセットであることが望ましい。エントランスだけでなく、エレベーターや共用廊下にも設置されているかを見ると、管理レベルがわかる。

3. 宅配ボックスの位置と施錠状態

宅配ボックスが屋外にある場合は、オートロックの内側にあるかどうかを確認。宅配のふりをして待ち構える犯罪もあるため、セキュリティゾーンの設計が大切。

4. オートロックの種類(物理キー or IC or暗証番号)

ICカードタイプやテンキー式は便利だが、落としたり番号を知られると不正使用のリスクがある。運用ルールがしっかりしているか確認する。

5. エントランスの見通し・照明の有無

エントランスに死角がないか、夜間でも明るく照らされているか。物理的に安心できる空間かどうかは、実際に目で見て判断したい。


安全性を高めるために自分でできる対策

  • 部屋の玄関にも必ず補助ロック・ドアチェーンを使う

  • 知らない来客には玄関を開けない(宅配でも一度確認)

  • 外出時もベランダ・窓の鍵を必ず閉める

  • エレベーターに乗る前・降りた後に後ろを確認する

  • 管理会社に点検報告・修理依頼を積極的に行う


「本当に安全なオートロック物件」を選ぶためには?

チェック項目 安全性の指標
裏口・非常口の施錠 常時施錠+センサー付きが望ましい
防犯カメラ 共用部全体に設置されているか
居住者の入居傾向 短期滞在者が多いと管理が緩くなりがち
管理体制 巡回・清掃・点検頻度が明示されているか
通知掲示板 セキュリティに関する注意喚起がされているか

「安心できる環境」は設備ではなく運用で決まる

オートロックはあくまで防犯の一部を担う“入口”にすぎない。それ自体が万能な防御装置ではなく、住人の意識や物件の管理状態によって、その効果は大きく変わる

「オートロックがあるから大丈夫」ではなく、
「どのようにオートロックが運用されているか」に注目して、冷静に物件を評価しよう。