バンコクでは、高層コンドミニアム=ラグジュアリーというイメージが一般的です。
しかし、東京の不動産市場を見ると、“ラグジュアリー=高層”とは限らないということに気づきます。
むしろ、富裕層に本当に選ばれているのは、**「低層」「閑静」「密度が低い」**という、全く逆の概念で設計された“静かな高級レジデンス”です。
今回は、タイのタワー型マンションと、日本の低層型高級マンションとの本質的な違いを解説します。
◆ 高層=豪華、は過去の常識?
バンコクでは「50階建て・屋上プール付き・共用施設充実」といったスペックが高級の象徴とされています。
これは都市開発のスピードが早く、視覚的な“高さ”が価値を表してきた文化的背景があります。
一方、日本ではむしろ、「静けさ・プライベート性・管理の丁寧さ」など、“暮らしの質”そのものが高級とされる文化が根付いています。
◆ なぜ東京では“低層”が好まれるのか?
東京の高級住宅地、たとえば元麻布・白金台・広尾・代官山などでは、以下のような傾向があります:
- 地域景観保護のため、高層建築が制限されている
- 土地自体が希少で、低層しか建てられない=供給が非常に少ない
- 住民の入れ替わりが少なく、静かなコミュニティが維持されている
つまり、低層だからこそ“選ばれた人だけが住める”価値があるのです。
◆ プライバシーと密度の違い
タワーマンションは、1棟に数百戸が集まり、エレベーターや廊下を共有する生活です。
そのため「人の出入りが多く、誰がどこに住んでいるのか分からない」という環境になることもあります。
対して、日本の低層レジデンスでは:
- 1フロアに2〜3戸のみ
- コンシェルジュ付きで来訪者管理が徹底
- 共用部も私邸のような落ち着きがある
- *まさに、“家のように暮らせるマンション”**という表現が当てはまります。
◆ 維持管理の質も異なる
高層タワーでは共用施設が多い反面、管理費や修繕費が高額になりがちで、
管理の質にもバラつきが出やすいという課題があります。
一方、低層レジデンスは:
- 管理組合の機能がしっかりしている
- 築年数が経っても美観が保たれている
- “住民自身が物件価値を維持する”という意識が強い
そのため、築20年を超えても価値を維持・上昇する物件も珍しくありません。
◆ タイ人富裕層の目が変わり始めている
近年では、タイ人投資家の間でも「静かで美しい低層マンション」の価値に気づく方が増えています。
「日本の“高級感”は、派手ではないけど、空気に現れる」
「タワーより、少数世帯の安心と整った雰囲気に惹かれた」
—— 実際の購入者の声より
これは、「見た目の豪華さ」ではなく、“本質的な住環境の質”に目が向くようになった証拠といえるでしょう。
◆ まとめ:“静けさこそが、最高の贅沢”
タイのタワー型は“所有するステータス”、
東京の低層レジデンスは“暮らしを楽しむ贅沢”。
どちらも魅力がありますが、
一歩先の富裕層が選び始めているのは、後者です。
これからの時代、本当にラグジュアリーな不動産とは、
「高さ」ではなく「深さ」で選ばれるものなのです。