「Wi-Fi無料」「インターネット使い放題」——
物件検索でこのような文言を見ると、「月額料金が節約できる」と感じて、つい惹かれてしまう。
だが実際には、「ネットは無料だけど、遅くて使い物にならない」というトラブルも多発しているのが現実だ。
この記事では、「ネット無料物件」の仕組みと注意点、契約前にチェックすべき項目、そして“回線遅すぎ”問題への対策を、冷静に解説する。
そもそも「ネット無料物件」とは?
不動産広告で「インターネット無料」と表示されている物件は、建物全体にインターネット回線が引かれており、入居者は無料で接続できる環境が提供されているというもの。
多くの場合、以下のいずれかの仕組みが採用されている:
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共用回線方式(1本の回線を全戸で共有)
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個別回線方式(各戸に専用回線を引き込むが費用は家賃に含まれる)
無料である以上、回線速度・安定性・サポート体制は物件によって大きく異なる。
よくある“ネット無料”物件のトラブル
1. 夜になるとネットが極端に遅くなる
→ 住人が集中して使用する夜間は、帯域制限により大幅に速度が低下。動画もまともに見られない。
2. 工事不要と言われたが、無線ルーターは自己負担
→ 「Wi-Fi無料」と書かれていても、Wi-Fiルーターは設置されておらず、有線LAN接続のみのケースがある。
3. サポート窓口がわかりにくい
→ 管理会社・プロバイダ・施工会社がバラバラで、故障時の問い合わせ先が曖昧になっている。
4. VPN・ゲームに制限がある
→ ポート制限や帯域制限により、オンラインゲームやVPNの使用に支障が出ることがある。
契約前に確認すべき5つのポイント
✅ 1. 接続方式は「共有回線」か「専有回線」か
共有方式はコストが安い一方で、住人の利用状況によって速度が不安定。一方、専有方式であれば回線速度は比較的安定する。
✅ 2. プロバイダ名と回線種別(光?CATV?)
回線速度・品質は、プロバイダによって異なる。「光回線+大手プロバイダ(例:NTTフレッツ、NUROなど)」であれば信頼度は高い。
✅ 3. 通信速度の目安(ベストエフォートではなく実測値)
広告では「最大1Gbps」などと表示されるが、実際の使用感は異なる。「実際にどの程度の速度が出るか」を内見時に確認できればベスト。
✅ 4. Wi-Fi設備の有無(ルーターは設置されているか)
Wi-Fiが使えるとは限らず、LANコンセントのみ設置されている物件も多い。その場合は自分でルーターを準備する必要がある。
✅ 5. 利用制限・ポート制限の有無
オンラインゲームやVPN、在宅勤務で必要なセキュリティ機能が使えるか、事前に規約を確認しておくことが重要。
ネット無料物件が向いている人・向いていない人
向いている人 | 向いていない人 |
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動画はYouTube中心、SNSやニュースがメインの人 | リモートワークで大容量ファイルを扱う人 |
外出が多く、自宅の使用は夜のみの人 | オンラインゲーム、配信、通話を日常的に使う人 |
ネット契約や工事に手間をかけたくない人 | 高速かつ安定した回線を求める人 |
対策:ネット無料物件でも快適に使う工夫
▶ Wi-Fiルーターのスペックを上げる
安価なルーターでは速度低下や接続不安定の原因になる。Wi-Fi 6対応・メッシュ型のルーターを使うと安定性が改善されることもある。
▶ 中継機を使って通信範囲を補強
特に1Kなど細長い間取りの部屋では、電波が届かないエリアが生まれることがある。中継器を使えば通信エリアを拡張できる。
▶ 管理会社に「個別契約できるか」相談
建物に既存の共有回線があっても、個人で別途光回線を引ける物件もある。その場合、自由度と速度が格段に上がる。
ネット無料に惑わされず「住み心地全体」で判断する
インターネット無料は確かに家計の助けになるが、**使い物にならなければ「無料でも損」**である。
ネット環境は今や「ライフラインのひとつ」。とくに在宅勤務やオンライン授業が日常化した今、快適な通信は住まい選びの重要条件となっている。
無料の恩恵を正しく使うには“事前確認”がカギ
ネット無料物件を上手に選べば、月5,000円〜7,000円程度の通信費を節約できる。
しかし、広告の「無料」の一言だけで選ぶと、後で「遅すぎて仕事にならない」「動画が止まる」などの不満につながる可能性もある。
契約前に接続方式・プロバイダ名・速度の目安・ルーター有無を必ず確認し、自分の使い方に合っているかを判断することが、失敗しない部屋選びのカギになる。