2025/06/19
ペット可物件でもNGなルールがある?事前確認の重要性

ペットと一緒に暮らせる住まいを探している人にとって、「ペット可」と表示された賃貸物件は大きな魅力を持って映る。しかし実際には、「ペット可」と書かれていても、すべての種類や飼い方が自由に認められているわけではない。契約を結んだあとに「その動物は不可」「多頭飼いは禁止」と言われて困惑する入居者も少なくない。

ペット可物件には、さまざまな細則や制限が設けられていることが多く、物件ごとに条件が大きく異なる。そのため、契約前に具体的なルールを詳細に確認しておかなければ、トラブルや追加費用の発生につながる可能性がある。

この記事では、ペット可物件でよくある制限事項や見落としやすい注意点、そして契約前に確認すべき具体的なポイントについて、事実にもとづいて解説する。

ペット可物件でも飼える動物に制限がある

「ペット可」と表示されている物件でも、すべての動物を自由に飼育できるわけではない。多くの場合、飼育が認められている動物の種類や大きさ、頭数に制限が設けられている。

たとえば、一般的に許容されているのは小型犬や猫一匹のみという条件であることが多く、中型犬や大型犬、複数頭の飼育は事前申請が必要だったり、そもそも禁止されていたりする。小鳥や小型の哺乳類など、一見問題なさそうな動物でも、「鳴き声がうるさい」「においが強い」といった理由から不可とされる場合もある。

また、爬虫類や両生類、昆虫などについては、「ペット可」とされている物件であっても例外的に禁止されていることが多く、明確な規定がない場合でも、入居後に近隣住民とのトラブルに発展することがある。

したがって、ペットの種類が具体的に許可されているか、契約前に管理会社や貸主に明確な確認を取ることが必要である。

頭数制限と飼い方に関するルール

ペットの飼育数にも制限が設けられているケースが多い。たとえば、「小型犬2頭まで」や「猫は1匹のみ」といった具体的な制限が契約書に明記されていることがある。このような制限は、においや騒音、共用部の使用ルールに配慮したものであり、契約違反とみなされれば退去を求められる可能性もある。

また、室内での放し飼いが許可されているかどうかも確認すべき項目の一つである。中には「ケージ飼育が原則」とされている物件や、「トイレや給餌の位置を固定すること」といった細かい規定がある場合もある。

ベランダや共用部にペットを出してはいけない、エレベーター使用時はケージに入れること、ペットを連れての来客は制限すること、など、具体的な生活スタイルに関わるルールが存在する物件もある。入居後にそれらのルールを知らずに過ごしてしまうと、近隣住民や管理会社との関係悪化を招く恐れがある。

敷金・クリーニング費用などの金銭的条件

ペットを飼育する場合、敷金が通常よりも高めに設定されている物件がある。たとえば、敷金が家賃の1か月分である物件が、ペット飼育の場合には2か月分になるといった例がある。また、原状回復費用に関しても、ペット飼育を前提とした特約が追加されていることがある。

たとえば、退去時にペットによるにおい除去やクロスの全面張り替え、床の補修などを借主負担で行うことが契約に明記されている場合がある。このような条項は「特約」として契約書の後半に記載されていることが多く、見落としやすいが、金額的なインパクトが大きいため注意が必要である。

また、ハウスクリーニング費用があらかじめ定額で設定されている物件であっても、「ペット飼育の場合は別途消臭作業を実費請求」と記載されているケースもある。契約前に、ペットを飼う場合の敷金、追加費用、退去時の負担範囲を具体的に確認することが望ましい。

鳴き声・におい・抜け毛への対応

ペット可物件であっても、周囲への配慮が前提とされている。代表的なトラブルの原因として、鳴き声、におい、抜け毛の問題が挙げられる。特に集合住宅では、隣戸や上下階との音のトラブルが深刻化しやすく、これを理由に管理会社や貸主から警告や退去勧告を受けるケースもある。

物件によっては、鳴き声対策として「昼間のみ在宅時の飼育を原則とする」「夜間はケージでの管理を義務づける」などのルールが設けられていることもある。また、におい対策として定期的な換気や脱臭処置を求められる場合もある。

抜け毛については、共用部の清掃義務や、エレベーター・廊下使用時のマナーが問われる場面が多い。掃除道具を常備すること、脱毛期には服に毛が付着していないか確認することなど、細かな配慮が求められることになる。

契約書に明記された飼育条件の読み解き方

ペット可物件の契約書には、「ペット飼育に関する特約」「ペット飼育規定」などの名称で、専用の条項が設けられていることが多い。この条項には、飼育可能な動物の種類、数、飼育方法、共用部の使用制限、原状回復に関する負担などが記載されている。

また、別紙として「ペット飼育申請書」や「誓約書」の提出が求められることもあり、そこには飼っているペットの種類、性別、年齢、ワクチン接種状況、写真などを記載する必要がある。

契約書や重要事項説明書の内容を読み飛ばさず、ペットに関する条項だけでも熟読することが、後のトラブル防止につながる。内容に疑問や不安がある場合は、契約前に管理会社に書面での説明を求め、必要に応じて交渉や確認を行うことが大切である。

申告なしの飼育は重大な契約違反

ペット可物件であっても、事前に申請や申告をしていない状態でのペット飼育は契約違反とみなされる可能性がある。とくに、「ペット相談可」と記載された物件は、許可制である場合が多く、事前承諾なしでの飼育は明確な違反行為となる。

無断飼育が発覚した場合には、是正指導や契約解除、損害賠償請求といった厳しい措置が取られることもある。たとえ周囲に迷惑をかけていないと感じていても、契約書上の義務に反していれば、管理会社の判断で強制退去となるリスクも否定できない。

安心してペットと暮らすためには、すべての条件をクリアにし、貸主・管理会社との信頼関係を築くことが必要不可欠である。