2025/06/28
メジャーで活躍する日本人たち。 その背景にある“練習の哲学”

メジャーリーグで活躍する日本人選手たちの姿は、単なる才能の輸出ではなく、日本野球が築いてきた“練習の哲学”そのものの証明ともいえる。海外メディアが驚くのは、その技術やプレーの正確さだけではない。毎日の地道な積み重ねによって育まれた集中力、忍耐、そして「型」を大切にする姿勢が、彼らの安定した結果に直結している。

日本野球における練習とは、量をこなすこと以上に、同じ動作を何度も反復し、その精度を高めることに重きが置かれている。バッティングではタイミングと軌道を、守備では一歩目の出し方やグラブの角度を、投球ではリリースポイントを徹底的に突き詰める。こうした反復の先にある「無意識でもできる動き」が、プレッシャーのかかる場面での安定感につながっている。

多くの日本人メジャーリーガーが、練習前のアップや体幹トレーニング、シャドーピッチングなど、試合と直接関係ないように見える動作を大切にしているのは、日々のルーティンが自分のプレーを支えているという実感があるからだ。周囲が誰も見ていなくても、黙々と型を守り、整える。これは単に真面目という言葉では片づけられない、自分自身との信頼関係の築き方でもある。

また、日本では“自らを律する練習文化”が深く根づいている。高校野球やプロ野球の現場では、監督やコーチの指導と同時に、自主的なトレーニングや研究が奨励される。自分の課題を自分で把握し、自らの意思で改善し続ける。その習慣が、メジャーという環境においてもブレないメンタリティを支えている。

例えば、登板前日にブルペン入りしない投手や、試合直前に打撃練習を省略する選手も多いメジャーの空気の中で、日本人選手たちは日々の準備を決して省略しない。その姿は時に“異質”と見られながらも、結果を残すたびにその哲学が評価されるようになってきた。

日本人メジャーリーガーの背景には、結果を急がず、地道な努力を積み重ねるという美学がある。才能を開花させる土台には、試合以外の膨大な時間が流れており、その練習こそが真の勝負の場でもある。だからこそ、彼らの一球一打には重みがあり、世界に通じるだけの説得力を持つのだ。練習を信じる力、それこそが日本野球が世界に誇る最大の財産かもしれない。