2025/06/19
仲介手数料は値下げ交渉できる?

日本で部屋を借りるときにかかる「仲介手数料」。物件の紹介から契約成立までをサポートする不動産会社に支払うこの費用は、多くの場合「家賃の1ヶ月分+消費税」と設定されている。

しかし、引越しにかかる初期費用が高額になりがちな中、「仲介手数料って交渉できるのでは?」と考える人も少なくない。

結論から言えば、仲介手数料は“交渉できる余地がある”費用のひとつである。

この記事では、仲介手数料の仕組みや相場、交渉のタイミングや注意点、実際に値下げしてもらうための現実的なテクニックを解説する。


仲介手数料とは?

仲介手数料とは、物件の紹介・案内・契約手続きなどを行った不動産会社に支払う報酬のこと。借主と貸主の間に入って契約を成立させた「仲介業務」に対して支払われる。

日本の法律(宅地建物取引業法)では、**仲介手数料の上限は「家賃の1ヶ月分(+消費税)」**と定められている。ただし、それは「上限」であり、必ず1ヶ月分支払う必要があるという意味ではない


実際にはどのくらい払っている?

不動産会社によっては「手数料無料」や「半額キャンペーン」などを実施している場合もあるが、多くのケースでは以下のいずれかとなっている。

パターン 支払額 コメント
① 家賃の1ヶ月分+消費税 約110% 最も一般的な設定
② 家賃の0.5ヶ月分+消費税 約55% キャンペーンや交渉次第で実現可能
③ 手数料無料 0円 自社物件や限定キャンペーン物件など

値下げ交渉は法的に問題ないのか?

まったく問題はない。仲介手数料はあくまで「サービスに対する報酬」であり、消費者(借主)がその額に納得できなければ、支払い額について交渉する権利がある

不動産会社も「断ってはいけない」というルールはないが、法律上「双方の合意によって手数料が決まる」とされているため、交渉自体は合法かつ正当な手段である。


値下げ交渉のテクニック5選

1. 同じ物件を他の会社でも扱っていないか調べる

同一物件でも、複数の仲介業者が取り扱っていることがある。
この場合、手数料の安い業者を選ぶか、相見積もりを提示して交渉に使うことができる。


「A社では手数料1ヶ月と言われましたが、B社では半額と聞いています。可能なら同じ条件にしてもらえませんか?」


2. 借主のみからの依頼であることを確認する

仲介手数料の上限は「借主と貸主の両方からそれぞれ0.5ヶ月ずつ」が原則。
しかし実務上は、借主側に全額(1ヶ月)を請求するケースが多い。

「この物件は貸主からも手数料をもらっているか?」を確認し、もらっている場合は、「借主側の負担を0.5ヶ月にしてもらえないか」と交渉できる。


3. タイミングを選んで交渉する

交渉のベストタイミングは「申し込み前」。
申込書を出してからでは、「既に手続きが進んでいる」として変更しにくくなる。

見学後、気に入った物件があれば、申込みの前に「この条件なら進めたいが、手数料を調整してもらえないか」と提案するのが効果的。


4. キャンペーンや特典を確認する

不動産会社によっては「仲介手数料無料キャンペーン」や「引越し応援キャンペーン」などを期間限定で行っている。

キャンペーンがないかを事前にウェブサイトや店舗で確認し、ない場合でも「初期費用を抑えたいので特典があれば教えてほしい」と聞いてみるのも手。


5. 複数物件を見ていることを伝える

「この物件しか見ていません」という態度では交渉しづらいが、「他にも検討中の物件がある」と伝えると、不動産会社は契約を逃したくない心理が働き、柔軟な提案をしてくれることがある。


値下げ交渉が難しいケースもある

すべての物件・会社が交渉に応じるとは限らない。特に以下のケースでは値下げが難しい傾向がある:

  • 自社管理物件で値引きの余地が少ない

  • 管理会社が仲介も兼ねていて、価格が固定されている

  • オーナーや管理側からの手数料が一切入らないため、借主から満額を受け取る方針の会社


値下げ以外の交渉も選択肢に

仲介手数料の値下げが難しい場合でも、他の費用を下げてもらえる可能性がある

たとえば:

  • 鍵交換費用をカットまたは減額

  • 火災保険の外部契約を認めてもらう

  • フリーレント(家賃無料期間)をつけてもらう

  • 初期費用の分割支払いを相談する


交渉は「失礼」ではない

仲介手数料は、あくまで「上限が決まっている報酬」であり、契約者がその金額に納得するかどうかは自由。正しく交渉すれば、不動産会社との関係が悪くなることは基本的にない。

ポイントは「感情的にならず、冷静に」「別の選択肢もあるという姿勢で」話すこと。

引越しは大きな出費を伴うイベント。少しの交渉で数万円が節約できることもあるからこそ、遠慮せずに一歩踏み出してみる価値は十分にある。