2025/06/19
保証人と保証会社の違いとは?外国人にとっての選択肢

日本で賃貸住宅を契約する際、多くの人が避けて通れないのが「保証人」や「保証会社」といった制度である。これは、借主が家賃を滞納したり、契約に違反するような事態が起きた場合に備え、貸主が経済的なリスクを回避するための仕組みであり、法律によって義務づけられているわけではないものの、実務上はほぼすべての契約で何らかの形で求められている。

特に日本における賃貸市場では、外国籍の人が保証人を立てるのが難しいという現実がある。そのため、保証会社という代替手段の存在は、外国人にとって重要な選択肢となっている。この制度のしくみを理解しておくことで、契約時のトラブルを避け、スムーズに住まいを確保することができる。

ここでは、保証人と保証会社のそれぞれの役割、メリット・デメリット、そして外国人にとっての現実的な選択肢について、事実に基づいて詳しく解説する。

保証人とは何か

日本の賃貸契約における保証人とは、契約者である借主が家賃を滞納したり、物件に損害を与えて費用が発生した場合などに、借主に代わってその支払い義務を負う人物のことである。連帯保証人として契約に署名するケースが多く、通常の保証とは異なり、借主と同等の責任を負う強い法的拘束力を持つ。

連帯保証人は、たとえば借主が突然失踪した場合でも、貸主から直接請求されれば支払わなければならず、その責任は極めて重い。日本人の家族や親族が連帯保証人を引き受けるのが一般的であるが、この制度は外国人にとっては大きな壁となることがある。日本に親族や信頼できる人物がいない場合、そもそも保証人を探すことができないという状況に直面する。

また、仮に知人がいたとしても、保証人になるには安定した収入や居住地、日本国籍または長期滞在資格などが求められるため、簡単に頼めるものではない。

保証会社とは何か

保証会社とは、借主の代わりに家賃債務を保証する法人であり、保証人がいない、または保証人制度を使わない代わりとして広く利用されている。借主が家賃を滞納した場合、保証会社が一時的に立て替えたうえで、借主に対して支払いを請求するという仕組みである。

保証会社の利用は、物件を取り扱う不動産会社や貸主が求めることが多く、契約時に保証料が必要となる。初回は賃料の半額から1か月分程度が目安であり、さらに1年ごとに更新料として1万円から2万円程度を支払うケースもある。

保証会社を利用する際には、審査が必要となる。審査では、在留資格、在職証明、収入の安定性、過去の信用情報などが確認される。外国籍の借主にとっては、この保証会社の存在が日本で賃貸契約を結ぶための実質的な前提条件となっているといっても過言ではない。

保証人と保証会社の主な違い

保証人と保証会社の違いは、個人が責任を持つか法人が責任を持つかという点に尽きる。保証人制度は、家族関係や人間関係に基づく相互信頼が前提であるのに対し、保証会社は金銭を支払うことで保証を得るサービス型の仕組みである。

保証人は無料で引き受けてもらえる場合が多いが、保証会社は利用料が発生する。保証人は借主が何らかの問題を起こしたときに貸主と直接交渉する可能性があるが、保証会社の場合はそのやりとりが法人間で行われるため、借主としての手間や心理的負担は軽減される。

一方で、保証会社は審査が通らなければ利用できず、審査の基準は各社によって異なるため、必ずしもすべての人が利用できるとは限らない。また、家賃滞納があった場合には、後日保証会社から借主に立替分の請求が来ることになる。

外国人にとっての現実的な選択肢

外国籍の人にとって、日本で賃貸契約を結ぶうえでの最も現実的かつ一般的な方法は、保証会社の利用である。実際に、日本の多くの物件では、外国籍の借主に対して保証人を求めるよりも、保証会社の利用を義務づけることで契約の確実性を確保している。

近年では、外国人対応に特化した保証会社も存在しており、多言語対応や在留カードでの本人確認、特定のビザ区分に特化した審査体制などが整備されている場合もある。ただし、審査に落ちる場合もあるため、複数の保証会社と提携している不動産会社を通じて相談するのが賢明である。

また、国際学生向けや企業の駐在員用として、保証人や保証会社不要の賃貸プランを提供している物件も存在するが、数は限られている。高額な家賃や長期の契約が前提条件となることも多いため、利用には注意が必要である。

契約前に確認すべきポイント

保証人を立てるか、保証会社を利用するかによって、契約時に必要な書類や費用、そして契約後の責任範囲が大きく異なる。そのため、事前にどちらの方式が求められているのかを確認し、納得したうえで手続きを進めることが重要である。

保証会社を利用する場合は、保証料の金額と支払い時期、更新料の有無、審査基準、滞納時の対応方針などを確認すること。保証人を立てる場合は、連帯保証か否か、保証人にどのような義務が発生するのかについて十分に理解し、相手にも説明したうえで合意を得る必要がある。

契約書や重要事項説明書に記載された保証関連の条項を読み飛ばさず、曖昧な点があれば遠慮なく質問する姿勢も重要である。保証という仕組みは、一見複雑に見えるが、正しく理解し備えることで、日本での住まい探しはぐっと現実的になる。