日本で部屋を借りる際、賃貸物件の情報はインターネットや不動産会社で簡単に手に入る。しかし、写真や間取り図だけではわからないことが多く、実際の部屋の状態や周囲の環境を把握するためには「内見」が欠かせない。
内見とは、契約前に実際の部屋を見学して確認することである。外観や室内の清潔さ、使い勝手、日当たり、騒音、においなど、現地に行って初めて気づく点も多い。とくに初めての賃貸契約や、日本の住宅事情に慣れていない外国籍の人にとっては、内見は納得して契約するための大切なプロセスである。
この記事では、内見時に必ず確認しておくべき7つのポイントを、実務に基づいてわかりやすく整理する。
1. 日当たりと窓の向き
室内がどれだけ明るいかは、写真だけでは判断が難しい。実際に部屋を訪れた際は、時間帯によって太陽の光がどれくらい入るのか、窓の位置や向き、建物の周囲に高い建物がないかを確認する。
東向きの部屋は朝に光が入りやすく、西向きは夕方が明るい。南向きは一日を通して明るいとされるが、周囲の建物によっては日照が遮られる場合もある。日当たりの良さは、室内の温度や湿気、カビの発生しやすさにも影響するため、生活の快適さに直結するポイントである。
2. 壁の厚さと音の響き
日本の住宅は、建物の構造によって音の響きやすさが異なる。特に木造や軽量鉄骨造のアパートでは、隣室や上下階の生活音が聞こえやすい傾向がある。
内見時には、壁や床を軽くたたいて音の響きを確認したり、耳を壁に当てて隣室の音が聞こえるかをチェックするとよい。また、天井や床からの足音、エレベーターの稼働音、建物外の車や電車の音も気になる場合があるため、できるだけ静かな時間帯に訪れて確認しておくと安心できる。
3. 水まわりの使い勝手とにおい
キッチン、浴室、トイレ、洗面所などの水まわり設備は、毎日の生活に欠かせない部分である。内見時には、蛇口を開けて水圧を確認し、異音がないかをチェックする。シャワーの温度調整や排水の流れも実際に試すとよい。
また、排水口からにおいがしないか、カビが生えていないか、換気扇が機能しているかも確認すべきである。においが強い場合は、配管の問題や前の入居者の使い方に問題があった可能性がある。
築年数の古い物件では、配管が老朽化していることもあるため、水まわりのチェックは特に丁寧に行いたい。
4. コンセントの位置と数
家具や家電を設置する際に影響するのがコンセントの位置と数である。内見時には部屋の隅々まで確認し、どの壁に何口あるのか、使いやすい場所にあるかをチェックする。
冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、エアコン、パソコンなど、使用予定の家電を想定して、延長コードが必要になるかどうかも検討しておくとよい。コンセントが少ない、または高い位置にある場合は、使い勝手が悪く感じることもある。
同様に、テレビアンテナの差込口やインターネットの配線位置も事前に確認しておくと、入居後の設定がスムーズになる。
5. 収納スペースの大きさと配置
収納の広さは生活の整理整頓に直結する。クローゼット、押入れ、靴箱、キッチンの棚などがどのくらいの大きさか、収納する予定のものが入るかを目で見て確認することが重要である。
また、扉の開閉スペースが家具の配置に干渉しないか、収納棚の中が湿っぽくないかといった点も確認しておくとよい。収納スペースが少ない物件では、追加で収納家具を購入する必要があるため、費用面も考慮することになる。
6. ゴミ置き場の位置とルール
建物内や敷地にゴミ置き場があるかどうか、その場所と清潔さを確認することも忘れてはならない。敷地内に専用ゴミ置き場がある場合は、24時間ゴミ出しが可能なこともあるが、自治体のルールに従って曜日や時間帯が決められていることも多い。
不動産会社や管理会社に、燃えるゴミ、資源ゴミ、不燃ゴミの出し方を確認しておくことで、入居後のトラブルを避けられる。ゴミ出しに関する掲示物が日本語のみの場合は、多言語の資料が用意されているかどうかも確認すると安心である。
7. 周辺環境とアクセス
建物の中だけでなく、建物の外や周囲の環境も確認すべきである。最寄り駅やバス停までの距離、コンビニ、スーパー、病院、役所などが徒歩圏にあるかどうかは、日常生活の利便性に直結する。
また、夜間の街灯の明るさや人通り、防犯カメラの有無、近隣の騒音源(幹線道路、繁華街、学校など)も確認しておくことで、安全性や静かさを見極めやすい。
可能であれば、内見とは別に夜間の周辺を歩いてみると、昼とは違った環境が見えてくる。