2025/06/17
契約更新にかかる費用と更新料の実態

日本の賃貸物件は、一般的に「2年契約」が基本となっており、その満了時には**“契約更新”という手続き**が発生する。
このタイミングで請求される「更新料」について、「なぜ払うのか?」「どれくらいかかるのか?」「払わなくていい物件もあるのか?」といった疑問を持つ人は少なくない。

本記事では、契約更新にかかる費用の中身と、更新料制度の実態、確認すべきポイントをわかりやすく解説する。


そもそも「契約更新」とは?

賃貸契約は、原則として期間を定めて結ばれる「定期契約」または「普通借家契約」のいずれかである。
日本の多くの賃貸住宅は、更新を前提とした「普通借家契約」に該当し、2年ごとに更新手続きが必要となる。

契約更新とは:

  • 借主が引き続き住み続けたい場合、契約を延長する手続き

  • 管理会社または貸主から「更新案内書」が郵送・メールなどで送られてくる

  • 借主が署名・捺印またはオンラインで手続きし、更新料を支払うことで継続できる


契約更新時に発生する主な費用

項目 内容 相場(家賃10万円の場合)
更新料 契約継続のために貸主へ支払う費用 家賃1ヶ月分(=10万円)
事務手数料 管理会社が更新手続きを代行する手数料 5,000〜15,000円程度
火災保険料(更新) 2年ごとの再契約が必要 15,000〜20,000円程度
保証会社の更新料 年間または2年ごとの更新 10,000円程度

💡つまり、更新時には合計で12〜15万円程度の費用がかかるケースもある


「更新料」ってそもそもなに?なぜ払うの?

更新料とは、**賃貸契約を延長する代わりに借主が貸主に支払う“使用継続の対価”**という独自の慣習。
日本特有の制度で、法的には義務ではないが、契約に明記されていれば有効とされている。

更新料の背景

  • オーナー側の「新たな入居者を探す手間・空室リスクを避けるための収益補填」

  • 借主が継続して住めることに対する“安心の代価”としての意味合い


地域差と「更新料なし物件」について

更新料制度は全国一律ではない。地域によって習慣が異なり、特に以下のような傾向がある:

地域 更新料の慣習
首都圏(東京・神奈川など) 家賃の1ヶ月分が通例
関西圏(大阪・京都など) 0.5〜1ヶ月分が一般的だが物件差あり
地方都市 更新料なし or 数千円程度の事務手数料のみも多い

💡最近は競争の激化により、更新料ゼロの物件も増加しているが、代わりに「家賃が割高に設定されている」ケースもある。


更新時に確認しておくべき重要ポイント

✅ 1. 契約書に「更新料の額」が明記されているか

→ 明示されていない場合、一方的な請求は無効と判断されることもある

✅ 2. 「更新手数料」が別途発生するか

→ 契約上、更新料とは別に管理会社への手数料が加算されていることがある

✅ 3. 更新しない場合の手続き

→ 通常は「1ヶ月前までの解約通知」が必要。忘れると自動更新されて更新料が発生する

✅ 4. 家賃変更があるかどうか

→ 更新時に家賃が改定されるケースもある。書面に記載があるか要確認


更新料を巡るよくある疑問Q&A

Q. 更新料を払わなかったらどうなる?

→ 多くの場合「契約更新がされず、退去を求められる」または「未納分を請求される」可能性がある。

Q. 支払った更新料は返ってくるの?

返金されない。 あくまで“契約延長の対価”であり、敷金のように返還義務はない。

Q. 契約書に書いていない更新料を請求された

→ 明記がなければ無効になる可能性もある。契約時の書面を見返し、管理会社に確認を。


トラブルを防ぐためにやるべきこと

  1. 契約書を保管し、更新前に再確認する

  2. 更新の案内が届いたら内容を精査し、不明点を質問する

  3. 更新料の支払いが不要な物件を探す場合は、初期家賃とのバランスも見る

  4. 更新せず退去する場合は、期限内に正しく解約手続きを行う


更新料は「家賃の一部」か「不要な出費」かを見極める

契約更新は、安心してその住まいに住み続けるための手続きであり、更新料はその“使用料”という意味を持つ。
ただし、すべての物件で必ず必要なわけではなく、物件ごとの条件を正しく把握しておくことが重要である。

更新料がかかる物件でも、家賃・立地・住環境などを総合的に見てコストパフォーマンスが高ければ問題はない。
一方で、「更新のたびに大きな出費が負担に感じる」なら、更新料なしの物件を選ぶことも選択肢のひとつだ。

住まい選びは、「契約時」だけでなく「継続時」のコストにも目を向けてこそ、本当に納得できる選択になる。