2025/06/19
家を借りるときの流れ|何から始めればいい?

日本で初めて賃貸住宅を借りるとき、多くの人が最初に感じるのは「何から始めたらいいかわからない」という戸惑いである。インターネット上には数多くの物件情報があり、条件もさまざまで、どの情報が重要なのかを判断するのは簡単ではない。

また、日本の賃貸契約には、独自の流れや慣習がある。外国籍の人にとっては、言語の壁に加え、契約書の読み方や必要書類、保証人や保証会社などの制度にも不慣れであることが多く、スムーズに進めるにはある程度の準備と理解が必要となる。

この記事では、初めて家を借りる人が安心して契約まで進められるよう、賃貸契約の基本的な流れと、最初にすべきことを一つずつ整理して解説する。

1. 希望条件を明確にする

最初のステップは、「どのような家に住みたいのか」を自分の中で明確にすることである。エリア、家賃、間取り、通勤・通学の利便性、建物の構造、設備の条件など、自分にとって優先順位の高いものを整理する。

たとえば、「駅まで徒歩10分以内」「家賃は月◯万円以下」「バス・トイレ別」「インターネット無料」「外国人対応可」など、項目ごとに希望を出しておくと物件選びがスムーズになる。

ただし、すべての条件を満たす物件を見つけるのは難しいため、必須条件と妥協できる条件を分けておくと現実的な選択がしやすくなる。

2. 不動産会社または物件情報サイトで探す

希望条件が整理できたら、実際に物件を探す段階に入る。日本では、不動産会社を訪問して紹介を受ける方法と、インターネット上の物件情報サイトから探す方法が一般的である。

インターネットでは、多くの情報を自分で比較できる反面、実際には「すでに申込み済み」「広告と異なる条件」というケースもあるため、問い合わせの段階で最新の空室情報かどうかを確認する必要がある。

外国語対応を希望する場合は、「外国人歓迎」「多言語対応」といった表記のある不動産会社やサイトを利用するのがよい。内見や契約手続きまでを外国語で対応してくれる業者もある。

3. 気になる物件を内見する

希望の物件が見つかったら、次は「内見(室内見学)」を行う。写真や間取り図だけではわからない部屋の状態、日当たり、建物の雰囲気、周辺環境などを自分の目で確かめることが重要である。

内見の際には、以下のようなポイントを確認するのがよい。

  • 壁の厚さ、音の響きやすさ

  • 日中と夜間の明るさ、周囲の静けさ

  • 設備(キッチン、浴室、エアコンなど)の状態

  • ゴミ置き場の位置と清潔さ

  • 郵便ポスト、宅配ボックスの有無

  • 建物の出入りや防犯面

可能であれば、内見は平日・休日、昼・夕方など異なる時間帯で行うことで、生活のイメージがつかみやすくなる。

4. 入居申込みをする

物件を気に入ったら、入居申込みを行う。申込みには、本人確認書類や在留カード(外国籍の場合)、収入証明、勤務先情報などが必要となる。

この段階では「契約」ではなく「入居希望」の意思表示にすぎないが、申込後にキャンセルすると違約金が発生することもあるため、申込前に不明点をしっかり確認しておくべきである。

多くの物件では、保証会社の利用が必須となっており、申込書をもとに審査が行われる。保証会社の審査に通らなければ契約できないため、書類の不備や内容の不一致がないよう注意する。

5. 審査通過後に契約手続きを進める

保証会社および貸主の審査が通過すれば、いよいよ契約の手続きに入る。ここで必要となるのが、契約書への署名・押印と、重要事項説明である。

重要事項説明は、物件の権利関係、契約条件、解約時のルールなどを宅地建物取引士が説明する手続きで、日本語で行われるのが基本である。日本語が理解できない場合は、通訳の同席が必要になることがある。

契約書を交わす前に、次の項目を確認しておくと安心できる。

  • 契約期間と更新条件

  • 家賃、管理費、共益費の金額と支払日

  • 解約時の通知期限と違約金の有無

  • 原状回復の範囲(退去時の負担)

  • 火災保険や保証会社の費用

契約時には、敷金・礼金・仲介手数料・前家賃・保険料・鍵交換費などを含む初期費用の支払いが必要となる。一般的には、家賃の4か月分前後が初期費用の目安とされている。

6. 鍵の受け取りと入居準備

契約が完了し、初期費用の支払いが確認されると、入居日に鍵が渡される。鍵の受け取りは、不動産会社または管理会社で行うことが多い。

入居前には、以下のような手続きを済ませておく必要がある。

  • 電気・ガス・水道の契約と使用開始の申込み

  • インターネット回線の確認と接続工事(必要な場合)

  • 転入届の提出(住民票登録)

  • 家具や家電の搬入スケジュールの調整

また、入居後すぐに室内の設備を確認し、破損や不具合があれば速やかに管理会社へ報告することが望ましい。証拠として写真を撮っておくと、退去時のトラブル防止にもつながる。