賃貸契約を結んだあと、生活の中で毎月発生するのが「家賃の支払い」。
契約書にも必ず明記されるこの項目だが、「支払い方法に種類があるの?」「期限に遅れるとどうなる?」といった点については、意外と理解があいまいなまま過ごしている人も多い。
この記事では、家賃の支払い方法、支払い期限、延滞した場合に生じるリスクを、実務に即してわかりやすく整理する。
家賃の支払い方法は大きく分けて3種類
賃貸契約では、毎月の家賃の支払い方法が契約書に明記されている。代表的なのは以下の3つ。
1. 口座振替(自動引き落とし)
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指定口座から毎月自動で家賃が引き落とされる
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最も一般的で、管理会社や保証会社経由で設定されることが多い
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毎月の引き落とし日は固定されている(例:毎月27日など)
2. 銀行振込
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入居者が毎月決められた口座へ自分で振り込む方式
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振込手数料がかかる場合は、原則として借主負担
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支払いの証拠として、振込明細や通帳記帳を保存しておくと安心
3. クレジットカード払い(対応物件のみ)
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一部の物件では、保証会社や管理会社の決済サービスを通じてクレジットカード払いが可能
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ポイントが貯まるなどのメリットがあるが、対応物件はまだ少数派
家賃の支払い期限は「月末締め」ではない
支払いのタイミングは、「翌月分を前月中に支払う前払い制」が原則。
たとえば、3月分の家賃は「2月末までに支払う」のが基本。
よくある支払い期限の例
契約に定められた期日 | 実際の支払い内容 |
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毎月末日までに | 翌月分の家賃を支払う(=前払い) |
毎月25日までに | 翌月分の家賃を支払う(口座引落日がこの日など) |
契約書には、「賃料は毎月◯日までに貸主指定の方法にて支払うこと」と明記されているため、自動引き落としであっても、その日までに口座に残高を用意しておく必要がある。
延滞(滞納)するとどうなる?起こりうるリスク
家賃の支払いが遅れることを「延滞」または「滞納」と呼ぶ。
一度の遅れで即トラブルになるわけではないが、繰り返しの延滞や長期間の滞納は、信用・契約継続に影響する重大な問題となる。
起こりうるリスク
リスク | 内容 |
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遅延損害金の発生 | 契約書に「年14.6%の遅延利息」などと明記されているケースが多い |
督促・催告 | 管理会社または保証会社から電話・書面による支払い催促が来る |
信用情報への影響 | 保証会社を利用している場合、個人信用情報に履歴が残ることも |
強制退去・契約解除 | 2〜3ヶ月の滞納が続くと、契約解除および退去請求の対象になる |
保証人への請求 | 保証人がいる場合、借主に代わって請求がいく可能性がある |
支払いが遅れそうなときに取るべき行動
✅ 1. 放置しない。必ず連絡する
無断で支払いを遅らせると、「ルールを守れない借主」と判断される。
管理会社または保証会社に、事前に連絡して事情を説明し、支払い予定日を伝えることが重要。
✅ 2. 延滞が発生したら、なるべく早く支払う
一日でも早く支払うことで、遅延損害金の発生や信用への影響を軽減できる。
✅ 3. 支払証明を残しておく
ATM・ネットバンキングの利用明細や振込画面のスクリーンショットを保存しておくと、「支払ったかどうか」のトラブルを防ぎやすい。
よくある誤解と注意点
誤解 | 実際 |
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1日遅れただけなら大丈夫 | 遅延損害金が発生する可能性あり。信用低下にもつながる |
支払えない月は保証会社がカバーしてくれる | 一時的に立て替えるだけで、借主に必ず返済義務が生じる |
「月末までに払えばいい」と思っていた | 多くの契約では翌月分の前払い制で、月末までに支払うのは「翌月分」 |
支払い方法と期限を確認するためのチェックリスト
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契約書に記載された「毎月の支払日」「支払い方法」は何か?
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振込先口座や引き落とし口座は設定済みか?
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支払方法が変更可能か(カード払い対応の可否など)
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滞納時の遅延損害金や違約金の取り扱いは明記されているか?
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口座引き落とし日が土日・祝日の場合、いつ処理されるのか?
家賃の支払いは、単なる毎月のルーティンではなく、契約を継続するうえで最も基本的な信用行為でもある。
支払い方法をきちんと把握し、期日を守ることは、トラブル回避の第一歩。
もしも支払いが難しい状況になったときは、自分から早めに動くことが信頼維持のカギとなる。