朱塗りの大鳥居が海に浮かぶ姿で知られる「厳島神社」。この景観を目にするために、国内外から年間数百万人が訪れる広島・宮島は、まさに“日本の美”を体感できる特別な場所だ。大阪からは新幹線で約2時間。日帰りも可能な距離ながら、ゆったりと巡れば歴史、自然、文化の奥深さをじっくりと味わえる。
旅のはじまりは新大阪駅から。広島駅まで「のぞみ」で約1時間半。そこからJR山陽本線で宮島口駅へ移動し、フェリーに乗り換えれば、約10分で宮島に到着する。フェリーの上からすでに、海の中にそびえる厳島神社の大鳥居が視界に入り、旅気分が一気に高まる。
宮島に着いたら、まずは世界遺産・厳島神社へ。平安時代に創建されたこの神社は、海に張り出したような独特の構造で、潮の満ち引きによって表情が変わる。干潮時には鳥居の足元まで歩いて行くことができ、満潮時には建物が水面に浮かんでいるかのような幻想的な光景が広がる。朝夕の光の角度によっても印象が異なり、時間帯をずらして訪れることで一層の感動が得られる。
神社参拝後は、表参道商店街で地元グルメやお土産を楽しみたい。宮島名物の「あなご飯」や「もみじ饅頭」はもちろん、牡蠣の炭火焼きや地ビールなどもおすすめ。路地裏のカフェや古民家を改装したレストランも増えており、島時間に溶け込むようなランチタイムが過ごせる。
午後には、弥山(みせん)への登山やロープウェイ体験も人気。標高535メートルの山頂からは、瀬戸内海の多島美が一望でき、晴れた日には四国方面まで見渡せる絶景が広がる。道中には弘法大師・空海ゆかりの史跡や巨石群なども点在し、信仰と自然が融合した特別な空気が感じられる。
時間に余裕があれば、広島市内まで足をのばして「原爆ドーム」や「平和記念資料館」も訪れたい。こちらも世界遺産に登録されており、戦争と平和の歴史に深く向き合う機会となる。宮島と併せて巡ることで、日本の“静と動”“過去と未来”を同時に感じる旅が完成する。
宿泊は宮島島内にも旅館やホテルが点在し、夜の静けさと朝の凛とした空気の中で過ごす時間は格別。大鳥居のライトアップや、観光客のいない早朝の参道散歩は、日帰りでは体験できない特別な魅力がある。
広島・宮島は、ただの観光地ではなく、深い精神性と自然美が共存する“心を洗う場所”。大阪からわずか2時間でたどり着けるこの世界遺産の島で、時間を忘れて過ごす週末を計画してみてはいかがだろうか。