2025/06/28
成田山新勝寺と門前町グルメで“静かな日本”を体感する1泊2日

国際空港のイメージが強い成田だが、駅から少し歩けば、まったく異なる時間が流れている。成田山新勝寺と門前町を中心に、喧騒とは無縁の「静かな日本」を感じられるエリアが広がっており、1泊2日の小旅行にふさわしい深みと安らぎがある。

旅のスタートはJRまたは京成成田駅。駅を出てすぐの表参道には、石畳と木造の建物が並び、まるで時代を巻き戻したような空気感が漂う。なかでも注目すべきは、創業百年を超える老舗のうなぎ店や和菓子屋。朝から炭火で焼かれるうなぎの香りは、参道全体を包み込み、食欲と旅情を同時に誘ってくれる。

昼食後は成田山新勝寺へ。真言宗智山派の大本山であり、全国からの参拝者が絶えない由緒ある寺院だ。本堂までの参道には緩やかな坂道が続き、境内に足を踏み入れると、荘厳な建築と高く伸びた木々が心を静めてくれる。護摩祈祷の時間に合わせて訪れると、堂内に響く太鼓の音と僧侶の読経に、日常の雑念がすっと洗い流される感覚に包まれる。

宿泊は門前町に点在する和風旅館がおすすめ。客室からは庭を眺めることができ、どこか懐かしい畳の香りが漂う。夕食には地元の旬を取り入れた会席料理が提供され、質素ながらも滋味深い味わいに心が整っていく。夜はテレビを消して、障子越しの月明かりや虫の声に耳を傾ける時間を持つと、日本の原風景に触れている実感が深まる。

翌朝は、早起きをして再び成田山へ。朝の境内は空気が澄み、参拝客もまばらで、静寂が身に染みる。境内の一角にある成田山公園では、池や茶室が配置され、四季折々の自然と一体になれる空間が広がっている。時間をかけて散歩することで、旅の疲れすら癒やされていく。

帰路につく前には、表参道に立ち寄って名物の甘味や地元の土産を探すのも楽しい。成田の落花生を使った和菓子や、手焼きせんべいなど、どれも素朴でありながら味に深みがある。観光地化されすぎていない門前町ならではの、丁寧な接客や会話にも心が温まる。

静けさの中に確かに息づく文化と暮らし。成田山新勝寺とその門前町は、現代のスピード社会に疲れた心をやさしく包み込む場所として、今あらためて注目すべき日本の旅先だと言える。