「日本で不動産を買いたいが、ビザを持っていない」
「将来住みたいけど、まずは家を所有しておきたい」
このような声は、特にアジアの富裕層の間で多く聞かれます。
結論から言えば、日本ではビザがなくても不動産の購入は可能です。ただし、購入によって在留資格が得られるわけではないため、誤解や過剰な期待に注意が必要です。
本記事では、不動産購入とビザの関係を明確にし、外国人購入者が知っておくべき日本のルールを解説します。
■ 不動産購入に「ビザ」は不要
日本では、外国人が土地や建物を購入することに対して、一切のビザ要件がありません。
国籍、居住地、滞在資格の有無を問わず、誰でも不動産を所有できます。実際、観光で日本に訪れただけの方が、日本で物件を購入する例も多数あります。
そのため、たとえば以下のような人でも購入は可能です:
- 日本に一度も住んだことがない
- 現在も日本国外に住んでいる
- 就労・留学などのビザを持っていない
■ ただし「ビザが取得できる」「永住権が取れる」は誤解
注意しておきたいのが、不動産を購入しても、日本で住む権利(在留資格)が得られるわけではないという点です。
日本には、「投資額に応じてビザが与えられる」ような移住目的の制度は存在しません。これは、東南アジアの一部の国やヨーロッパ諸国とは大きく異なる点です。
つまり、「家を買ったから日本に住める」と思ってしまうと、現実と大きなギャップが生じます。
■ もし「将来住みたい」なら別途ビザ申請が必要
購入した家に将来住みたいという希望がある場合は、そのときに滞在目的に応じたビザを別途取得する必要があります。
たとえば:
- 日本で仕事をするなら「就労ビザ」
- 家族と住むなら「家族滞在ビザ」
- 配偶者が日本人なら「配偶者ビザ」
- 長期観光滞在なら「特定ビザ」や「長期観光プログラム(例:タイの富裕層向け制度)」
不動産購入そのものが「ビザ取得の理由」にはならないため、希望の在留目的に沿った計画を立てることが大切です。
■ 資産保有はOK、運用も可能
なお、日本で不動産を購入した後、それを貸し出して運用すること(賃貸運用)も合法です。
つまり、「日本に住まないが、所有して資産として運用する」というスタイルは問題ありません。
その際は、以下のような準備が必要です:
- 管理会社との契約(入居者募集・賃貸管理)
- 税務代理人の指定(確定申告など)
- 納税体制の整備(固定資産税、所得税)
■ 不動産取得にかかるその他の条件やルール
- 購入制限エリア:一部、国防・安全保障上の重要区域では規制対象になる可能性がありますが、ほとんどの都市部物件には関係ありません。
- 報告義務:購入後、一定規模以上の土地取引については行政への報告義務が発生することもあります(一般購入者にとっては問題なし)。
- 外国送金に関する書類:大きな金額を日本へ送金する際は、送金元の証明が求められる場合があります(マネーロンダリング防止対策の一環)。
■ まとめ:ビザ不要=自由に買えるが、住むには別条件
日本は、不動産購入に関しては非常に開かれた国です。ビザの有無にかかわらず、安心して購入することが可能です。
ただし、「所有」と「居住」はまったく別の話だという点は、しっかり理解しておきましょう。
物件を保有しながら、将来的なビザ取得を目指す場合には、不動産とビザ戦略を分けて考えることが成功の鍵です。