茨城県つくば市にそびえる筑波山は、標高こそ877メートルとそれほど高くないが、古くから霊峰として崇められ、日本屈指のパワースポットとして知られている。都心からのアクセスも良く、初心者でも登れる手軽な登山ルートが整備されているため、週末の日帰りトリップにも最適な山だ。
筑波山の最大の特徴は、男体山(なんたいさん)と女体山(にょたいさん)の二峰からなる双耳峰であること。古代より男女の神を祀る信仰の対象として親しまれ、山全体が神聖な空気に包まれている。とくに山頂の岩場や御神木周辺には「気が強い」「運気が高まる」と語られるスポットが点在し、近年は若い層を中心にスピリチュアルな場所として注目されている。
登山初心者におすすめのルートは、つくば山神社から登る「御幸ヶ原コース」。片道約90分、標高差もほどほどで整備された山道が続く。途中には巨石や杉林が広がり、自然の造形を間近に感じながら登ることができる。さらに標高が上がるにつれ、霞ヶ浦や関東平野を一望する絶景が広がり、登山の達成感を味わえる。
体力に自信がない人や小さな子ども連れには、ケーブルカーやロープウェイを利用した登山も人気。ケーブルカーは宮脇駅から御幸ヶ原駅まで約8分で山腹まで登れる。ロープウェイならつつじヶ丘駅から女体山の山頂近くまで一気にアクセス可能で、そこから徒歩数分で絶景スポットに立てる。いずれも高齢者や初心者にやさしい選択肢で、気軽に登山の雰囲気を味わえる。
山頂では、それぞれのピークに小さな祠が建ち、参拝者の姿が絶えない。男体山からは関東平野、女体山からは太平洋側まで望める日もあり、晴天時には富士山や東京スカイツリーが見えることもある。見晴らしの良さと空気の澄み方は、標高以上の感動を与えてくれる。
下山後は、麓にある「筑波山神社」へ立ち寄りたい。山そのものをご神体とするこの神社は、縁結びや開運のご利益で知られ、厳かな雰囲気の中にも親しみやすさがある。また、近隣には地元産の食材を使った蕎麦や、温泉を備えた宿泊施設もあり、登山とあわせて癒しの時間を過ごせる。
筑波山は、高さよりも深さを感じさせる山だ。神話や自然、登山の達成感、そして清らかな空気が交差するこの場所は、訪れるたびに違う表情を見せる。初心者でも安心して登れるルートが整備されているからこそ、誰もが自分のペースでその魅力に触れることができるだろう。