「日本に住んでみたい」──そう思う海外の富裕層は年々増加している。
世界でも稀なほど安全で清潔、医療も充実し、食のレベルが高く、人々は礼儀正しい。そんな日本に、「できれば家を買って、いつでも滞在できるようにしておきたい」と考えるのはごく自然なことだろう。
だが、ここでひとつ疑問が浮かぶ。
「外国人がビザなしで日本の不動産を買うことはできるのか?」
結論から言えば――「可能」だ。しかも非常にシンプルな手続きで。
本記事では、外国人が日本で不動産を購入する際のルールや制度、そして“移住の入口”としての活用方法を詳しく解説する。
■ 外国人が「ビザなし」で物件を購入できる国、それが日本
まず大前提として、日本には「不動産購入にビザが必要」という制限はない。
つまり、観光で訪れている外国人であっても、合法的にマンションや一戸建てを購入し、登記できる。
必要なのは、以下の基本的な情報と書類だけ:
- パスポート
- 現地の住所と連絡先
- 印鑑(サインで代用可)
- 購入代金の送金に関する銀行情報
また、法人名義での購入も可能で、税制上のメリットを生かした**「法人保有スキーム」**も富裕層の間では一般的になってきている。
■ ビザがなくても「所有」はできるが「滞在」は制限あり
ただし、注意点もある。それは、物件を買ったからといって、日本に長期滞在できるわけではないという点だ。
日本は不動産購入に対して「ゴールデンビザ」のような優遇滞在制度を設けていないため、観光ビザなど**在留資格の範囲内での滞在(最長90日)**に限定される。
したがって、「日本に家を持ち、年に何度か滞在する」という使い方は可能でも、「完全移住」や「通年滞在」を希望する場合には、以下のいずれかの方法を検討する必要がある:
- 投資経営ビザ(会社設立+資本金500万円以上)
- 配偶者・家族ビザ(日本人との結婚など)
- 長期滞在プログラム(例:タイのエリートビザに相当する制度は日本には未整備)
■ それでも買う価値がある「定住ではなく、拠点」として
では、なぜビザが制限されていても日本の不動産が売れているのか?
その答えは明確だ。日本で家を持つことは、“安心の拠点”を得るという意味で、非常に大きな価値があるからだ。
- 医療目的での一時滞在
- 子どもの留学時の住まい
- 地政学的リスクを回避した「第2の拠点」
- 文化的・精神的豊かさを味わう滞在拠点
こうしたライフスタイルの一部として、日本にセカンドハウスを持つことは、富裕層にとってごく自然な投資判断となっている。
■ 法人設立+不動産購入で「移住の足がかり」にも
将来的に日本への本格移住や長期滞在を考える場合は、不動産購入と法人設立をセットで行うケースが増えている。
- 小規模のコンサル会社を設立し、投資経営ビザを取得
- 自社名義で物件を購入・運用し、活動実績を積む
- 数年後にビザ更新 or 家族帯同ビザへ切り替え
このようなプロセスを踏むことで、ビザ制度に正しく則った形で“生活の拠点化”を進めることができる。日本の制度は厳格だが、そのぶん透明性が高く、計画的に進めれば十分に現実的なルートとなる。
■ 日本の家は、“滞在権”ではなく“安心の権利”
日本の不動産は、ビザと引き換えに与えられるものではない。
だが、所有することで「いつでも帰ってこられる場所」ができるという“心の安心”を得ることができる。
これは、政情が不安定な国や税制が急変する国に住む富裕層にとって、非常に大きな意味を持つ。
移住はできなくても、資産として、日本とのつながりを持つ。
その第一歩が、「日本に家を買うこと」なのだ。