2025/05/23
移住希望者続出。ビザ不要で日本の不動産は買えるのか?

「日本に住んでみたい」──そう思う海外の富裕層は年々増加している。

世界でも稀なほど安全で清潔、医療も充実し、食のレベルが高く、人々は礼儀正しい。そんな日本に、「できれば家を買って、いつでも滞在できるようにしておきたい」と考えるのはごく自然なことだろう。

だが、ここでひとつ疑問が浮かぶ。

「外国人がビザなしで日本の不動産を買うことはできるのか?」

結論から言えば――「可能」だ。しかも非常にシンプルな手続きで。

本記事では、外国人が日本で不動産を購入する際のルールや制度、そして“移住の入口”としての活用方法を詳しく解説する。


■ 外国人が「ビザなし」で物件を購入できる国、それが日本

まず大前提として、日本には「不動産購入にビザが必要」という制限はない。

つまり、観光で訪れている外国人であっても、合法的にマンションや一戸建てを購入し、登記できる

必要なのは、以下の基本的な情報と書類だけ:

  • パスポート
  • 現地の住所と連絡先
  • 印鑑(サインで代用可)
  • 購入代金の送金に関する銀行情報

また、法人名義での購入も可能で、税制上のメリットを生かした**「法人保有スキーム」**も富裕層の間では一般的になってきている。


■ ビザがなくても「所有」はできるが「滞在」は制限あり

ただし、注意点もある。それは、物件を買ったからといって、日本に長期滞在できるわけではないという点だ。

日本は不動産購入に対して「ゴールデンビザ」のような優遇滞在制度を設けていないため、観光ビザなど**在留資格の範囲内での滞在(最長90日)**に限定される。

したがって、「日本に家を持ち、年に何度か滞在する」という使い方は可能でも、「完全移住」や「通年滞在」を希望する場合には、以下のいずれかの方法を検討する必要がある:

  1. 投資経営ビザ(会社設立+資本金500万円以上)
  2. 配偶者・家族ビザ(日本人との結婚など)
  3. 長期滞在プログラム(例:タイのエリートビザに相当する制度は日本には未整備)

■ それでも買う価値がある「定住ではなく、拠点」として

では、なぜビザが制限されていても日本の不動産が売れているのか?

その答えは明確だ。日本で家を持つことは、“安心の拠点”を得るという意味で、非常に大きな価値があるからだ。

  • 医療目的での一時滞在
  • 子どもの留学時の住まい
  • 地政学的リスクを回避した「第2の拠点」
  • 文化的・精神的豊かさを味わう滞在拠点

こうしたライフスタイルの一部として、日本にセカンドハウスを持つことは、富裕層にとってごく自然な投資判断となっている。


■ 法人設立+不動産購入で「移住の足がかり」にも

将来的に日本への本格移住や長期滞在を考える場合は、不動産購入と法人設立をセットで行うケースが増えている。

  • 小規模のコンサル会社を設立し、投資経営ビザを取得
  • 自社名義で物件を購入・運用し、活動実績を積む
  • 数年後にビザ更新 or 家族帯同ビザへ切り替え

このようなプロセスを踏むことで、ビザ制度に正しく則った形で“生活の拠点化”を進めることができる。日本の制度は厳格だが、そのぶん透明性が高く、計画的に進めれば十分に現実的なルートとなる。


■ 日本の家は、“滞在権”ではなく“安心の権利”

日本の不動産は、ビザと引き換えに与えられるものではない。

だが、所有することで「いつでも帰ってこられる場所」ができるという“心の安心”を得ることができる。

これは、政情が不安定な国や税制が急変する国に住む富裕層にとって、非常に大きな意味を持つ。

移住はできなくても、資産として、日本とのつながりを持つ。

その第一歩が、「日本に家を買うこと」なのだ。