2025/05/23
税制優遇・固定資産税の低さが魅力──日本不動産の隠れた恩恵

不動産を保有するうえで避けて通れないのが「税金」の問題だ。

物件の価格や立地ばかりが注目されがちだが、実は購入後にどれだけ維持費がかかるかによって、投資としてのパフォーマンスは大きく左右される。そしてこの点で、日本の不動産は、**世界の主要都市と比較して“非常に税負担が軽い”**ということをご存じだろうか?

本記事では、富裕層が日本不動産に注目する“もうひとつの理由”──税制面の隠れた恩恵について解説していく。


■ 固定資産税は“世界最低水準”のひとつ

たとえば東京・港区にある2億円相当のマンションを購入したとしよう。年間の固定資産税・都市計画税の合計は、概ね25万円〜35万円程度に収まる。つまり、評価額の0.1〜0.2%程度が維持費ということになる。

これを世界の主要都市と比べると、その“異常なまでの安さ”が際立つ。

  • ニューヨーク:固定資産税率はおよそ1.2〜2.0%。2億円相当の物件で年間240〜400万円。
  • バンクーバー:1.5〜2.5%が一般的。富裕層向けには“空き家税”などが別途加算される。
  • 香港:不動産保有税の代わりに、“賃料課税”が重く課される仕組み。
  • シンガポール:物件タイプにより税率が最大16%に達することもある(非居住用・外国人所有など)。

こうした都市と比較すると、日本の不動産を長期保有することが**“非常にリーズナブル”な選択**であることが見えてくる。


■ 相続税・贈与税の評価も“割引されやすい”

もうひとつの隠れたメリットは、日本の税制では不動産の評価額が市場価格よりも低く計算されるという点だ。

たとえば、実勢価格2億円の物件でも、相続税評価額が1億円程度に下がるケースは珍しくない。これは「路線価」や「固定資産評価額」に基づいて計算されるため、現実の売買価格より控えめな金額で課税される仕組みになっている。

つまり、“目減りした額”で贈与・相続が可能になり、実質的な節税効果が生まれるのだ。

また、一定の条件下では「小規模宅地の特例」や「配偶者控除」などを組み合わせることで、法定相続人に対する課税はほぼゼロに抑えることも可能。富裕層にとって、日本の不動産は「次世代への資産承継」に非常に適したアセットだといえる。


■ 購入時の税コストも“透明で低い”

日本では不動産購入時の諸費用も非常に明確であり、以下のような項目がある:

  • 不動産取得税:約3〜4%
  • 登記費用:物件価格の0.1〜0.2%
  • 仲介手数料:最大3.3%
  • 消費税:新築物件や法人売主に対してのみ(中古個人間売買には非課税)

たとえば、1億円の中古マンション(個人売主)を購入する場合、税金としてかかるのは取得税のみ。物件価格に対して5〜6%の予算をみておけば十分だ。

対して、香港・シンガポールではスタンプデューティ(印紙税)や追加印紙税(外国人税)などで、合計15〜30%が課税されることもある。単純に数千万単位で税金が上乗せされるため、「コストを抑えて安定資産を持ちたい」という富裕層にとっては、日本がいかに現実的な選択肢かが明らかだ。


■ レンタル運用にも優しい税制設計

賃貸経営を考えている投資家にとっても、日本は魅力的だ。

・所得税計算において減価償却が可能

・ローン金利・修繕費・管理費・火災保険も必要経費として控除対象

・短期譲渡(5年未満)でも分離課税で納税計算ができる

・法人保有の場合も、節税スキームが組みやすい柔軟な制度設計

これらは、欧米諸国では複雑な税申告や高率課税が課されるケースと比較して、“圧倒的に投資しやすい環境”といえる。


■ “表に出ないコスト”こそが資産運用の決め手

不動産投資の真価は、「買った瞬間」ではなく、「持ち続けた時間」と「次世代へどうつなぐか」によって決まる。

その点で、日本の不動産は税制面において非常に優れており、「静かに持って、しっかり守り、やがて渡す」ための資産として、これほど理想的な場所はない。

  • *数字では見えない“隠れた恩恵”**こそ、日本不動産の本当の魅力なのだ。