旅の楽しみは、到着してから始まるもの──ではありません。
目的地へ向かう“空の上”でも、その土地の文化に触れることができたら、旅の高揚感は何倍にもふくらみます。
特に「食」は、その国の文化を映す鏡。
そして日本行きフライトでは、まさに**“和の体験”が空の上から始まる特別な時間が用意されています。今回は、人気エアラインが誇るおもてなし和食機内食**を徹底特集。目でも舌でも日本を味わう、上質な機内グルメの世界へご案内します。
ANA(全日本空輸)
― 空の上の懐石。五感で楽しむ「THE Washoku」
ANAのビジネスクラス・ファーストクラスでは、「日本料理の真髄」をテーマに、季節感と地域性に富んだ和食メニューを提供。
お椀物、前菜、炊き込みご飯、主菜、甘味と、まるで会席料理のような構成は、“機内でここまでやるか”という完成度。
たとえば秋には松茸ご飯や栗の茶巾絞り、春には桜鯛や菜の花の胡麻和えなど、日本の四季を表現する料理が提供されます。器にもこだわりがあり、漆調の小鉢や金箔入りの酒器など、空間全体が「和」の演出になっています。
特に外国人旅行者からは「食器の持ち方から学べた」「日本に触れた瞬間だった」といった声も多く、ANAの和食=空の文化体験として定評があります。
JAL(日本航空)
― 老舗料亭×日本酒ソムリエ。伝統が香る“JAL厳選和膳”
JALは「おもてなし」にかけては世界屈指。
ファーストクラスでは、京都・東京の老舗料亭や一流シェフが監修する和食コースを搭載。出発地に合わせて素材を選び、羽田発便では関東風の味付け、関空発便では関西風の薄味が出るなど、細やかな違いも。
特筆すべきは、日本酒とのペアリング。利き酒師が選んだ全国の銘酒とともに供される食事は、まさに“空の上の料亭”といえる体験。味噌仕立ての和牛すき焼き、真鯛の昆布〆、白味噌と豆乳のムースなど、繊細な味わいが旅のはじまりを彩ります。
ZIPAIR Tokyo
― LCCでも和は楽しめる!進化系モダン和食
フルサービスだけでなく、LCCでも和のおもてなしは健在。
ZIPAIR Tokyoでは、あらかじめWebで注文できる「ZIP Deli」シリーズの中に、和風ハンバーグ膳や鮭の塩焼き弁当、鶏と野菜の柚子風味ご飯などがあり、「手軽だけど満足感が高い」と好評。
機内Wi-Fi無料・静かな照明演出など、総合的な快適性も手伝って、“気軽に日本を感じる旅の入口”として利用されるケースが増えています。
シンガポール航空
― Book the Cookで選ぶ「日本行き限定和御膳」
日本行き便限定で、日本風の機内食が事前にリクエスト可能な「Book the Cook」も魅力。
たとえば銀鱈の西京焼きや鶏の照り焼き、炊き込みご飯セットなどが選べ、上空でもしっかりとした“ごはん”を味わえます。
特にシンガポール在住の日本人や、和食ファンの外国人旅行者に人気。ミニマムだけど正統派の味わいが「本物志向」の乗客に評価されています。
カタール航空・エミレーツ航空
― 和と中東の融合、洗練されたワールドクラスの和食
中東系エアラインでも、日本路線ではしっかりと和を取り入れています。
カタール航空の「Qsuite」ファーストクラスでは、和牛のローストや寿司セット、緑茶とゆずのデザートなど、“和とモダンフレンチの融合”のような機内食が特徴的。
エミレーツ航空でも、サバの塩焼き、枝豆ご飯、抹茶ムースといった“国際的な日本風”メニューが楽しめ、海外旅行者にとって「憧れのJ-culture体験」として印象に残る存在です。
まとめ:「機内食=文化の入口」。空の上で和を味わうという贅沢
飛行機の機内で出される食事。それは単なる栄養補給ではありません。
特に日本行きの便においては、「味わうことで文化に出会える」体験のはじまり。
繊細な盛り付け、出汁の香り、食器の手触り、料理人の想い──それらすべてが、“日本らしさ”を空の上で演出してくれます。