2025/06/28
箱根温泉で“何もしない贅沢”を味わう|東京からの行き方と滞在術

日々の忙しさから抜け出し、ただ静かに過ごす時間を求めて箱根を訪れる人が増えている。特別な観光やアクティビティをあえて詰め込まない、いわゆる“何もしない贅沢”が、大人の旅スタイルとして注目されている。

箱根は東京からのアクセスも良く、新宿駅から小田急ロマンスカーで約90分、JRや新幹線を利用すれば1時間ほどで到着する。目的地に着くまでの移動時間も、旅の一部として楽しむことができるのが箱根の魅力のひとつだ。

箱根湯本駅に到着したら、まずは荷物を預けて、ゆったりとした気持ちで温泉街を歩いてみる。駅周辺には昔ながらの和菓子店や足湯スポットが点在し、どこか懐かしさを感じる風景が広がる。時間に追われない旅を意識するなら、立ち寄る場所をあらかじめ決めず、気の向くままに進むことが心地よさにつながる。

宿は、温泉そのものを楽しむことを第一に選びたい。客室付き露天風呂や自然を望むテラスを備えた宿では、部屋から一歩も出ずに過ごすことが旅の目的になる。風呂上がりにそのまま横になれる贅沢や、誰にも気を使わずに湯と景色を独占できる時間は、都市生活ではなかなか得られないものだ。

夕食は宿でいただくのが王道。地元の食材を活かした季節の献立は、ひとつひとつ丁寧に仕立てられており、目にも舌にも記憶に残る。部屋食や半個室スタイルで提供されることも多く、周囲を気にせずゆっくり味わえる環境が整っている。

夜はテレビを消し、窓の外の山並みや星空を眺めながら過ごすのが箱根の夜の楽しみ方のひとつ。読書をしたり、ただぼんやりと湯けむりを見つめたりする時間に、心の余白が生まれていく。

翌朝は早起きして朝風呂に浸かるのもおすすめ。朝の静けさの中で温泉に入ると、体だけでなく心まで洗われるような感覚に包まれる。チェックアウトまでの時間も焦らず、旅館のラウンジやテラスでコーヒーを片手に過ごすひとときが、旅の質をさらに高めてくれる。

箱根には観光地としての魅力も多いが、ときには何もせず、ただ温泉に身を預けるだけの滞在にこそ、心からの癒しがある。静けさの中にある贅沢、それが今の箱根が提供する最上の体験かもしれない。