2025/06/19
築年数だけじゃわからない「本当の住みやすさ」とは?

物件探しをしていると、つい気になってしまうのが「築年数」。
築浅(ちくあさ)と呼ばれる築5年以内の物件は、きれいで新しいイメージがあり、多くの人が魅力を感じます。

しかし、「築浅だから住みやすい」とは限らないのが実情。
逆に、築20年以上の物件でも、しっかり管理されている住まいの方が、ずっと快適に暮らせることもあります。

この記事では、築年数にとらわれず「本当に住みやすい物件」を見極めるための判断軸を、現実的かつ実務的に解説します。


「築浅=快適」ではない理由

✅ 築浅でも設備の質は物件ごとに違う

築3年でも、壁が薄くて音が響きやすい物件や、安価な素材を使ってコストを抑えている物件もあります。
見た目が新しくても、設計や施工の質に差があることを忘れてはいけません。

✅ 管理が行き届いていないと劣化は早い

新築時にきれいでも、共有部(廊下、エントランス、ごみ置き場など)の清掃やメンテナンスが不十分だと、たった数年で建物全体の印象が悪くなることもあります。

✅ 家賃が割高になりやすい

築浅物件は人気が高く、同じ広さ・立地でも家賃が高く設定される傾向があります。
その割に、「実際に住んでみたら期待ほどではなかった」と感じる人もいます。


「築古」でも住みやすい物件がある理由

✅ フルリノベーション済みで設備が最新

築30年でも、内装・キッチン・浴室などが一新されているリノベーション物件であれば、新築並みに快適な空間で暮らすことができます。

✅ 建物自体がしっかりしている

鉄筋コンクリート造のマンションなどは、もともとの建築基準が高く、耐震性や断熱性に優れていることもあります。
古くても「重厚で静か」「気密性が高い」と感じる人も多いです。

✅ 管理が良い物件は住人の質も高い

エントランスや掲示板が整っている、ゴミ出しがルール通りに行われているなど、管理状態が良い物件は、住民のマナーや暮らしの質も高い傾向があります。


「住みやすさ」は何で決まる?

以下のような項目を総合的に見て、「住みやすさ」は築年数以上に判断されるべきです。

チェック項目 内容
建物構造 RC造(鉄筋コンクリート)か、木造かによって防音性・耐震性が異なる
立地 駅からの距離、スーパー・病院・コンビニの近さなど
日当たり・風通し 部屋の向き、窓の配置、隣接建物との距離
設備 キッチン・バス・トイレ・エアコンなどの機能性と清潔さ
管理状態 共用部の掃除、掲示板、郵便受け、ゴミ置き場の清潔度
周囲の環境 騒音、治安、夜の明るさ、隣人のマナーなど
修繕履歴 外壁や給排水の補修が定期的にされているか(築古物件の場合)

築年数は「参考情報」として見るべき

築年数は、あくまで「建てられてから何年経っているか」を示すだけ。
それだけで設備の状態、快適さ、騒音、断熱性などを判断することはできません。

同じ「築20年」でも、

  • 放置された物件 → 経年劣化が目立ち、住み心地が悪い

  • 定期的に手入れされた物件 → 快適に長く暮らせる

というように、管理状態によってまったく違う印象になります。


築年数だけにとらわれない物件選びのコツ

  1. 築年数だけで除外しない
     →「築浅しか見ない」は選択肢を狭める原因になります。

  2. リノベーション済みかを確認する
     →「室内写真がきれい」な場合でも、実際の施工内容(床・配管・設備)を確認。

  3. 内見時に“共用部”をチェックする
     →清掃の状況や貼り紙の有無で、住人のマナーや管理状態がわかる。

  4. 家賃とのバランスを見る
     →築浅で家賃が高すぎる物件より、築年数が経っていてもコスパの良い部屋を探すという発想が重要。

  5. 現地の空気を感じる
     →日当たり・音・におい・周囲の雰囲気などは、築年数ではわかりません。内見で体感することが不可欠です。


住みやすさは「数字」ではなく「総合バランス」で決まる

「新しい=良い」「古い=悪い」という単純な判断では、本当に快適な住まいを見つけることはできません。

築年数はあくまで目安のひとつ。
それよりも、自分のライフスタイルに合った設備・間取り・環境・管理状態を総合的に見ることが、住んでからの満足度を左右します。

長く安心して暮らせる物件を見つけるには、「築年数」に縛られず、柔軟な視点を持つことが何より大切です。