2025/06/28
草津温泉はなぜ“日本三名湯”と呼ばれるのか?その理由と楽しみ方

群馬県西部に位置する草津温泉は、「日本三名湯」の一つに数えられ、古くから多くの湯治客や旅人に親しまれてきた。残る二つは有馬温泉(兵庫)と下呂温泉(岐阜)で、いずれも長い歴史と豊かな泉質を誇るが、草津温泉が際立って支持を集め続けている理由には、いくつかの明確な特徴がある。

まず特筆すべきは、湧出量の豊富さだ。草津では一日あたり約3万リットル以上の温泉が自然湧出しており、これは全国でもトップクラスの規模となっている。源泉は大小100以上におよび、ほぼすべての宿で加水なしの「源泉かけ流し」が可能となっている点は、温泉ファンにとって大きな魅力といえる。

もう一つの強みが泉質の特異性だ。草津の主な泉質は酸性泉で、pH2前後という強い酸性を持ち、殺菌作用が非常に高いことで知られている。皮膚病や切り傷への効能が伝えられており、古来より「万病に効く」と称されてきた。この特性から、江戸時代には湯治場としても栄え、多くの文人や武士が草津を訪れた記録が残っている。

象徴的な存在となっているのが「湯畑」だ。町の中心に位置するこの場所では、毎分4000リットル以上の湯が湧き出し、湯気が立ちのぼる様子はまさに圧巻。木造の樋を通して湯温を下げる独特の構造が風情を醸し、訪れる人の目と心を引きつける。夜にはライトアップも行われ、幻想的な雰囲気に包まれる。

さらに、草津には“湯もみ”という伝統文化が残っている。高温の源泉を加水せずに適温にするため、板で湯をかき混ぜるこの手法は、草津独自の温泉文化として受け継がれてきた。湯もみショーを見学できる施設もあり、観光客が体験できる機会も設けられている。

草津での過ごし方は多様だ。温泉街には老舗の旅館やモダンなデザインのホテルが立ち並び、ニーズに応じた宿泊が可能。足湯や共同浴場も点在し、気軽に湯を楽しむことができる。さらに周辺には白根山の火山地形や、スキー場、自然公園などもあり、季節を問わず見どころが豊富だ。

草津温泉はその豊富な湯量と高い泉質、長い歴史と文化的背景、そして現代的な観光地としての整備が見事に融合している。それが、「日本三名湯」の名にふさわしい温泉地として、今も多くの人に選ばれ続ける理由である。