2025/06/19
鉄筋と木造で住み心地はどう違う?構造による選び方

賃貸物件を探していると、物件概要に「RC造(鉄筋コンクリート)」「木造」「鉄骨造(S造)」など、建物の構造に関する表記を目にする。これらは単なる建築用語に見えるかもしれないが、実は住み心地や耐久性、家賃、光熱費にまで関わる重要な要素である。

「鉄筋と木造、どちらを選べばいいのか?」と迷う方も多いが、生活スタイルや重視するポイントによって、適した構造は異なる。

この記事では、鉄筋と木造それぞれの特徴や住み心地の違いを解説し、自分に合った構造を見極めるための判断軸を提供する。


1. 音の伝わり方(遮音性)

木造

木材は軽くて振動が伝わりやすいため、上下左右の生活音が響きやすい傾向がある。特にアパートタイプ(2階建てなど)では、足音やドアの開閉音、テレビの音などが気になることがある。

向いていない人

  • 音に敏感な人

  • 在宅ワークや勉強で集中したい人

鉄筋コンクリート造(RC造)

鉄筋とコンクリートの構造は重量があり密度が高いため、遮音性が非常に高い。上下階や隣室の音は感じにくく、プライバシー性にも優れる。

向いている人

  • 静かな環境を求める人

  • 家で音楽や映画を楽しみたい人


2. 室温の変化(断熱性)

木造

木材は本来、断熱性が高い素材ではあるが、構造の関係で夏は暑く、冬は寒くなりやすい。外気温の影響を受けやすく、冷暖房の効きにもムラが出ることがある。

結果として:

  • 光熱費が高くなりやすい

  • 室内が乾燥・結露しやすい

鉄筋コンクリート造

コンクリートは熱を蓄える性質があるため、冷えにくく暖まりにくい。季節によっては過ごしやすいが、真夏や真冬には空調が必須となる。

結果として:

  • 空調を効かせれば快適

  • 遮熱対策(カーテン・サーキュレーターなど)が効果的


3. 耐震性・耐火性

木造

近年の木造住宅は耐震基準を満たしており、構造的に問題があるわけではない。ただし、火災や台風の被害には弱い傾向がある。

木造でも、築年数が浅い・しっかり設計された物件であれば耐震性に優れているが、古い建物では確認が必要。

鉄筋コンクリート造

RC造は地震・火災どちらにも非常に強く、安全性が高い。耐久年数も長く、50年以上の使用を想定されている建物が多い。

結果として:

  • 地震の揺れを感じにくい

  • 火災保険料が木造より安くなることがある


4. 建築コストと家賃

構造によって、建築費=家賃に反映される。

項目 木造 鉄筋コンクリート造(RC)
建築コスト 安い 高い
家賃相場 安め(1〜2万円差あり) 高め(特に都心部や新築)
保険料 やや高め 安め(火災・地震リスクが低いため)

節約重視の方には木造、設備と快適さ重視の方にはRC造が向いていると言える。


5. 建物のタイプと居住感

木造物件の特徴

  • 2階建てや戸建て風アパートが多い

  • ベランダや庭付きの物件が多い

  • 住宅街に多く、静かな立地も見つかりやすい

  • 内装に木の温かみがある物件も

RC造物件の特徴

  • 3階建て以上のマンションに多い

  • オートロック・エレベーター付きなど設備が充実

  • 駅近・都心部の供給が多い

  • 共用部分の整備が進んでいる


6. 住人の層や生活スタイル

構造の違いは、「住んでいる人の属性」にも影響することがある。

木造アパート RC造マンション
単身者・学生が多い
ファミリー層が多い
長期入居希望者
短期・転勤者

木造は「気軽に住み始めやすい」、RC造は「腰を据えて住む」イメージが強い。


重視するポイントから構造を選ぶ

どちらが「良い・悪い」ではなく、何を重視するかによってベストな構造は変わる

たとえば…

  • 音に敏感なら → RC造

  • とにかく安く住みたいなら → 木造

  • 家族で長く住む予定なら → RC造

  • 通勤アクセスとコスパ重視なら → 木造(郊外)

  • 火災・地震が心配なら → RC造

  • 自然素材の温かみを感じたいなら → 木造

物件検索サイトでは「構造別に絞り込む」こともできるため、まずは自分の生活スタイルに合う構造を明確にし、それを軸に住まい選びを進めてみてほしい。