2025/06/19
高層階のメリット・デメリットを冷静に比較する

マンションの上層階と聞くと、「見晴らしがいい」「静かで快適」「風通しがいい」といったプラスのイメージが浮かぶ人も多いだろう。実際、不動産広告でも「高層階」という表現は、特別感や人気の象徴として使われることが多い。

しかし、高層階に住むということには確かに魅力がある一方で、具体的な生活の中では“向き不向き”がはっきりと分かれるのも事実だ。この記事では、感情的な憧れに流されず、高層階に住むことのメリットとデメリットを客観的に整理し、自分のライフスタイルに合った選択ができるように冷静に比較する。


高層階に住む「主なメリット」

1. 見晴らし・景観が良い

遮るものが少ないため、遠くまで見渡せる開放感がある。夜景や朝焼けが見える部屋は、非日常感があり心地よい。

2. 外からの騒音が少ない

交通量の多い道路や街中の喧騒から離れており、生活音や騒音が届きにくい。静かな環境で集中したい人にとっては大きな利点。

3. 虫が出にくい

階数が高いほど蚊やゴキブリといった虫が侵入しにくく、虫嫌いの人には快適

4. 日当たり・風通しが良い

周囲に遮る建物が少ないため、自然光が入りやすく、風もよく通る。洗濯物もよく乾く。

5. セキュリティの面でも安心感がある

低層階に比べて、空き巣などの侵入リスクが低いと感じられる人が多い。


高層階に住む「主なデメリット」

1. エレベーター待ちのストレス

混雑する時間帯にはエレベーターを呼んでから乗るまでに数分かかることも。特に朝の出勤・通学時、荷物の多い日には煩わしく感じやすい。

2. 停電・災害時のリスク

地震や停電が発生するとエレベーターが停止し、階段での昇り降りが必須になる。高層階での避難は体力的に厳しい場面もある。

3. 室温のコントロールが難しいことも

風が強すぎて窓が開けられない、高層階特有の温度変化があるなど、空調依存の生活になりやすい

4. 耳鳴り・気圧変化に敏感な人には不向き

高層階は気圧差を体感しやすく、人によっては耳が詰まるような不快感や疲労感を訴えることも。

5. 家賃が高くなりやすい

同じ間取りでも、階数が上がるごとに家賃が高くなるのが一般的。景観料や「特別感」の価格が上乗せされる。


階数ごとの傾向と選び方

階数 特徴 向いている人
1〜3階 出入りが楽・階段でも移動可能 高齢者、小さな子どもがいる家庭、荷物が多い人
4〜10階 価格と利便性のバランスが良い 全体的なコスパを求める人
11〜20階 見晴らしや静けさの効果が大きくなる 音に敏感な人、夜景を楽しみたい人
20階以上 高層階ならではのメリットと課題が明確 景観重視、静けさ重視、ステータス感を求める人

高層階に住む前に確認すべきチェックポイント

  • エレベーターの数と速度
     → 1基だけなら混雑時の待ち時間が長くなる可能性あり

  • 災害時の避難経路と備蓄場所
     → 非常階段の場所や使用条件を契約前に確認

  • 上下階の生活音
     → 高層でも建物構造が軽量鉄骨などの場合は音が伝わる

  • 風圧・窓の構造
     → 台風時や強風時の窓の開閉、洗濯物干しの可否

  • 共用部の使用ルール
     → エレベーター予約制や荷物搬入の時間制限があるかどうか


高層階に住むのが「向いている人」「向いていない人」

向いている人:

  • 音に敏感で静かな空間を求める

  • 自宅で景色や空を楽しみたい

  • 虫や防犯に強いこだわりがある

  • 家賃にある程度余裕がある

  • 外出時の時間にゆとりを持てる生活リズムの人

向いていない人:

  • 足腰に不安がある、または小さな子どもがいる

  • 災害時に迅速な移動が求められる環境にいる

  • 家賃をできるだけ抑えたい

  • 通勤・通学でエレベーターの混雑を避けたい

  • 窓を開けて風通しを重視したい


上層階という“高さ”に惑わされず、実態を見極める

「高層階=快適で高級」というイメージは根強いが、実際の生活には時間的ストレス・災害時の不安・空調依存・コスト負担といった現実も伴う。

憧れだけで選ぶのではなく、自分の生活リズム・体力・予算・価値観に合っているかを冷静に見極めたうえで、高層階という選択肢を評価することが、後悔しない住まい選びの鍵になる。