2025/05/24
3カ国で教育移住を試した父親が、最後に日本に決めたわけ

「アメリカも、オーストラリアも、それぞれに良かった。でも“ここだ”と思えたのは、日本でした。」

そう話すのは、香港出身の実業家・Mr. C。彼は、息子の教育のために約10年間、3つの国で教育移住を実践した人物です。

それぞれの国に素晴らしい側面がありながらも、最終的に東京を選んだ理由──それは、「静けさの中にある豊かさ」だったと言います。

今回は、そんな“教育移住3カ国トライアル”を経た父親が語る、日本教育の決め手を追います。


■ ステージ1:アメリカ「自由すぎる不安」

最初に選んだのは、カリフォルニア州のパロアルト。名門大学への進学率が高く、STEM教育が盛んな地区です。

  • 良かった点:自由な発想力・プレゼン能力が鍛えられる
  • 不安だった点:競争の激しさと“親の関与”が過度に求められる
  • 「周囲があまりにエリート志向で、子どもも自然と“勝ち負け”に敏感になってしまった。何より、日常生活で感じる治安面の不安がずっと心に残った。」

■ ステージ2:オーストラリア「のびのび、でもどこか物足りない」

次に移ったのは、シドニーの郊外。自然環境に恵まれ、ゆるやかな教育方針が特徴です。

  • 良かった点:ストレスの少ない日常と、心身の自由
  • 課題だった点:学びの深さや文化的な刺激が少ない

「子どもが笑顔で育っていたのは本当。でも、どこか“真剣に考える力”が育たない気がしてきた。本人が“もう少し挑戦したい”と言い始めたのも大きかった。」


■ ステージ3:日本──静けさの中で、芯が育つ

3カ国目に選んだのが日本。観光で訪れた際に、「この国なら、家族で暮らせるかもしれない」と直感したそうです。

東京・広尾のインター校に転入し、最初の1ヶ月で感じた違いは“落ち着き”。

  • 教室がうるさくない。子どもたちが自然と順番を待つ
  • 先生が結果よりも過程を見てくれる
  • 生活の中に“考える時間”と“感じる余白”がある

「息子が“最近、本をよく読むようになった”と妻が驚いていました。静かだけど、深い教育なんです。」


■ なぜ日本が「最後の地」になったのか

Mr. C は、日本を教育移住の「ゴール」としてこう語ります:

  1. 社会全体が子どもを“育てよう”としてくれる空気がある
  2. “静けさの中にある厳しさ”が、子どもの芯を育ててくれる
  3. 親として“張り詰めすぎずに暮らせる安心感”がある

アメリカの自由、オーストラリアの癒し、日本の調和──

3カ国を経てわかったのは、「育てたい子どもの像」と「都市の性質」が一致したとき、教育は最大の効果を発揮するということでした。


■ いま、彼が語る“日本という教育国”

「日本には、過度な主張も、見せびらかす成果もない。でも、確かに“成長”がある。じっくり、丁寧に、自分で選びながら育っていく。息子はようやく、自分のペースを見つけました。」

また、Mr. Cは、日本にいるからこそ感じた“親としての学び”もこう述べています:

「子どもに何を与えるかばかり考えていたけど、日本で暮らしてみて“何を見守るか”の方が大切かもしれないと気づきました。」


■ まとめ:“移住”ではなく、“定住”という答え

教育移住を3カ国試したからこそ見えた、“教育に必要な本質”。

それは、**数字でも制度でもなく、「空気」だった。 家庭と学校、街と人々、そのすべてが“育ち”に繋がる日本は、まさに「教育と暮らしが重なる場所」**だったのです。