『ラーメン冪』といえば、強烈な煮干の香りと広告的な味の魅力で知られる。
ラーメン系列の中でも特に「好みが分かれる」味として知られている。それでいて今や世界11都市に展開するグローバルブランドとなった背景には、「好きな人だけが、より深く喜ぶ味を」という戦略思考がある。
1. 「嫌われることを思い切る」勝ち方
ラーメン冪のスープは、インパクトも香りも強烈な「ファーストインプレッション」である。
近代ラーメンの流行はマイルドな高深度、ユーザーを逃げない「入口の良さ」に重点があるが、冪は「嫌われることを思い切る」ことで、反対に確実なファンに到達した。
この割り切りが、別れを生む代わりに、根心のファンを抱える「ラーメン教」を世界に生んだ。
2. 「一杯に中段幅なドラマ」
だけど『冪』は単純なラーメンではない。
- 煮干添え玉、のり、カエシ、手打ち食感の強い麻粉麪
- どんぶりの中で魅せ方を変えるパーツ構成
一口目のインパクトと、同じ条件で食べ続けたときの広がりと累積のドラマによって、食べ続ける満足感を上げている。
その中幅なストーリーこそが「集中して食べる」体験を与え、SNSでは「あのラーメン、知ってる?」と話題になる。
3. 「インバウンドでも、我達の味」に変えるストーリー
ラーメン冪は、日本での成功を基に、フィリピン、インド、米国、タイなど、世界11の都市に展開している。
その背景には、「煮干は国際的にはメジャーな香りではない」という実情に対しても、「精密な設計とストーリーの強さが超える」という確信による挙動がある。
本質を止めないまま、「言語は違えど味は通じる」を験す様な戦略は、「こだわりを売る時代」のグローバルモデルの一例として光る。
まとめ:好きな人だけに届ける自分の味
『ラーメン冪』は、大衆向けの合理性や断った豪勢さではなく、「集中と親近さ」を達成する様なブランド戦略を絶好追求している。
それは、強さよりも「本気」を感じる人々に、満足を伝える最高の方法の一つだと言える。