2025/06/19
入居審査で見られるポイントとは?収入・職業・信用力

日本で賃貸物件を借りる際、多くの人が経験するのが「入居審査」である。物件を気に入り、申し込みをしても、審査に通過しなければ契約には至らない。特に初めて部屋を借りる人や外国籍の人にとっては、どのような基準で審査が行われるのか、何が評価されるのかがわからず、不安を感じることがある。

入居審査は、貸主が借主に対して「この人に部屋を貸しても問題ないか」を確認するためのプロセスである。そこでは、借主の収入や職業、信用力、在留資格、保証体制などが総合的に見られる。物件によって審査の厳しさに違いはあるが、基本的な評価ポイントには共通項がある。

この記事では、日本の賃貸契約における入居審査で見られる代表的なポイントを、収入、職業、信用力という3つの視点から整理し、審査をスムーズに通過するための準備について詳しく解説する。

なぜ入居審査が必要なのか

賃貸契約において、入居者は毎月家賃を支払う義務を負い、建物や設備を適切に使用する責任を持つ。貸主としては、家賃滞納や近隣トラブル、契約違反のリスクをできるだけ避けたいと考える。そのため、契約前に借主の属性や支払い能力を確認し、「信頼できる入居者かどうか」を見極める必要がある。

特に、保証会社を利用する物件では、保証会社が独自に審査を行い、家賃支払い能力や連絡のつきやすさ、信用情報などをチェックする。貸主自身が行う審査と合わせて、複数の視点から評価されるのが一般的である。

収入:家賃とのバランスが最重視される

入居審査で最も重視されるのが、借主の収入と家賃のバランスである。一般的な目安として、家賃が月収の3分の1以内であることが望ましいとされている。たとえば、月収が18万円の場合、6万円程度までの家賃であれば無理なく支払えると判断されやすい。

提出を求められる書類としては、次のようなものがある。

  • 給与明細(直近1〜3か月分)

  • 源泉徴収票(前年度分)

  • 雇用契約書や内定通知書

  • 確定申告書(個人事業主の場合)

収入が不安定と見なされる場合には、保証会社が否認する可能性がある。家賃に対して収入が不足している場合は、家賃の低い物件に切り替える、家族の収入を合算して申請する、保証人を立てるなどの対策が必要になることもある。

また、外国籍の人で給与明細が提出できない場合は、在職証明書やビザの内容と収入の関係を丁寧に説明することで、審査通過の可能性が高まる。

職業:雇用形態と在籍年数が評価される

収入とあわせて、職業や雇用形態も審査対象となる。正社員、契約社員、派遣社員、自営業、アルバイト、学生など、職種によって評価の基準が異なる。

正社員であれば、安定性の観点から評価されやすく、入居審査においては優位とされる。契約社員や派遣社員の場合でも、在籍年数が長く、更新実績がある場合には問題なく審査に通ることがある。

自営業やフリーランスの場合は、収入の安定性が見えにくいため、過去の確定申告書や営業実績、契約書類などを用意することで信頼度を高めることができる。審査では、「今後も継続して収入が得られる見込みがあるか」が重要視される。

学生の場合は、親の収入証明書や仕送り証明、奨学金の受給証明などが必要になることが多い。外国籍の学生の場合は、在留資格の期間や大学の在籍証明書、緊急連絡先の提出も求められる。

信用力:支払い履歴やトラブルの有無が問われる

信用力とは、過去に家賃滞納や契約違反などを起こしていないか、金銭トラブルがなかったかを確認する項目である。保証会社は、信用情報機関や自社データベースをもとに、申込者の信用履歴を確認することがある。

過去に他の物件で滞納があった場合や、保証会社の審査で落ちた履歴がある場合、再審査で不利になることがある。実際に、保証会社の審査で否認された場合、不動産会社が別の保証会社を提案してくることもあるが、それでも信用に問題があると判断されれば、契約そのものが難しくなる。

また、連絡がつきにくい人、書類提出が遅い人、説明に曖昧な点がある人も、審査で不安視される傾向にある。時間内に必要書類を提出し、誠実に対応することも、信用力を高めるためには重要である。

その他のポイント

審査においては、収入・職業・信用力のほかにも、次のような点が評価対象となることがある。

  • 契約者の年齢

  • 在留資格の種類と残存期間(外国籍の場合)

  • 家族構成と入居予定人数

  • 緊急連絡先の信頼性(親族かどうか、日本語対応が可能か)

  • 保証人の有無と属性

外国籍の人が契約する場合には、在留カードやパスポートの提出、ビザの内容確認、日本語対応の可否、母国との連絡体制などが総合的に見られる。保証会社によっては、特定の国籍や在留資格に対して慎重な判断をすることもあるため、物件選びの段階で多国籍対応の実績がある不動産会社を選ぶのが有効である。

審査をスムーズに通すための準備

入居審査を通過するためには、事前の準備と正確な情報提供が鍵となる。以下のポイントを意識することで、審査の通過率を高めることができる。

  • 家賃と収入のバランスを意識した物件選びをする

  • 必要書類を漏れなく、早めに準備する

  • 提出書類に不備がないよう、名前・日付・住所を正確に記入する

  • 在留資格や勤務先、収入などに変動がある場合は事前に説明する

  • 緊急連絡先は信頼できる人物を設定し、日本語が話せることが望ましい

また、審査に落ちたとしても、あきらめる必要はない。不動産会社に相談すれば、別の保証会社を提案されたり、条件を見直すことで契約が可能になる場合もある。