日本で部屋を借りるとき、「家賃保証会社を利用してください」と不動産会社に言われることがある。はじめて聞く言葉かもしれないが、これは外国籍の方を含む多くの入居者にとって、いまや契約に欠かせない存在になっている。
「保証会社って何?」「自分には関係あるの?」「何をしてくれるの?」と疑問を感じる方のために、この記事では家賃保証会社の役割・仕組み・注意点を、実務に即してわかりやすく解説する。
家賃保証会社とは?
家賃保証会社とは、賃貸契約の中で「連帯保証人」の代わりを引き受ける会社のこと。契約者(借主)が家賃を滞納した場合に、貸主に対して代わりに支払いを行い、後で借主に請求するという仕組みで成り立っている。
かつては、家族や親族が保証人になるのが一般的だったが、近年では保証人が見つからない人が増えたため、保証会社を利用する契約が主流になっている。
家賃保証会社がしてくれる主なこと
1. 家賃の立て替え
借主が家賃を支払えなかった場合、保証会社がまず家主に家賃を支払い、その後、借主に対して立て替えた金額の返済を求める。
例:
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月末までに家賃が支払われない
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家主は保証会社に請求
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保証会社が立て替え払いをする
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保証会社が借主へ連絡し、返済を求める
2. 滞納時の通知・回収業務
家賃の滞納が発生すると、保証会社は借主に対して電話・メール・郵送などで支払いを促す。何度も支払わない場合、法的手続き(督促や明け渡し請求)を進める場合もある。
ポイント:
滞納が続くと信用に傷がつく可能性があるため、早めに対応することが重要。
3. 契約時の保証人代行
保証会社を使えば、原則として個人の連帯保証人が不要になる。不動産会社や貸主によっては、保証会社の利用が必須条件となっていることもある。
外国籍の方にとってのメリット:
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日本に保証人がいなくても契約が可能
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審査基準が明確で、本人の情報だけで判断される
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通訳サービスがある会社もあり、手続きのサポートが得られる
利用の流れと費用
1. 審査申し込み
入居申し込みの際に、保証会社の審査も同時に行われる。審査項目は、勤務先・収入・在留カードの有効期限・過去の家賃滞納歴など。
2. 初回保証料の支払い
契約時に初回保証料が必要。金額は保証会社によって異なるが、家賃の30%〜100%が目安。
例:
家賃10万円 → 初回保証料:3万円〜10万円
3. 年間更新料
1年ごとに更新料がかかるケースが多い(例:1万円/年)。これは保証契約を維持するための費用。
よくある誤解と注意点
「保証会社がいれば、支払わなくても大丈夫」は間違い
家賃を払えなかった場合、保証会社が立て替えてくれるのは事実だが、その後、必ず返済義務が発生する。支払いが遅れれば遅れるほど、延滞金や督促費用が追加される場合もある。
審査に落ちることもある
保証会社は独自の審査基準を持っており、誰でも必ず通るわけではない。たとえば以下のようなケースは審査が厳しくなることがある:
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在留期間が極端に短い
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無職または不安定な収入
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過去に家賃滞納歴がある
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緊急連絡先が国内にない
複数の保証会社がある
保証会社にはいくつもの種類があり、不動産会社ごとに提携先が異なる。A社では審査に落ちたが、B社なら通るということもあるため、審査に落ちてもあきらめず相談することが大切。
保証内容にも違いがある
同じ「家賃保証」といっても、会社ごとに対応範囲が異なる。以下のような違いがあるため、契約前に確認しよう。
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共益費や駐車場代も保証対象に含まれるか
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原状回復費用の未払いもカバーされるか
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保証内容に免責事項があるかどうか
家賃保証会社を利用するメリットまとめ
✅ 保証人が不要になる
✅ 入居までの手続きが早くなる
✅ 万が一の滞納時でも貸主との直接トラブルを避けやすい
✅ 外国籍の入居者でも柔軟に対応してもらえる場合が多い
✅ 引越し後も安心感がある(緊急対応サポートがある会社も)
保証会社は“入居の鍵”になる存在
家賃保証会社は、入居者にとって「支払いの肩代わりをしてくれる存在」ではなく、貸主と入居者の信頼関係をつなぐ仲介役のようなものである。
特に保証人を見つけることが難しい外国籍の方にとっては、保証会社の存在があることで、より多くの物件に申し込むチャンスが広がる。
契約前には、保証会社の条件や費用、サポート体制をしっかり確認し、安心して日本での住まいをスタートさせよう。