「どうせ住むならキレイな新築に住みたい」
これは誰もが一度は思う願望かもしれない。実際、日本の賃貸市場では“新築”や“築浅”物件が常に人気で、完成前から満室になることも珍しくない。
しかし、新築=完璧というわけではない。むしろ、「新築だからこそ起きる予期せぬトラブルや不便さ」に後から気づき、戸惑う人も多いのが実情である。
この記事では、新築物件にありがちな“見落とされがちな欠点”を、実際の入居者の声や事例に基づいて解説し、契約前にチェックすべきポイントを紹介する。
欠点①:完成前に契約し、内見ができない
新築物件は、多くの場合「建築中の段階」で入居募集が始まる。人気物件では内見ができる前に埋まってしまうこともあり、図面やイメージCGだけを頼りに契約せざるを得ないケースもある。
よくあるリスク:
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想像より日当たりが悪い
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周辺の音や環境がイメージと違う
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建材のニオイや空気が気になる
対策:モデルルームや同施工会社の過去物件の内見が可能か聞いてみる。現地に足を運んで立地と陽当たりの確認をする。
欠点②:工事の遅延により引越し時期がずれる
「〇月完成予定」と書かれていても、天候や資材不足、労働力の遅れによって工期が遅れることはよくある。予定通りの引越しができず、仮住まいを探す羽目になるケースも。
影響例:
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契約済みの旧物件を退去しなければならないのに新居が未完成
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転勤・入学などライフイベントに間に合わない
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荷物の保管やホテル暮らしで想定外の出費
対策:契約書に「引き渡し遅延時の対応」についての条項があるか確認。柔軟な引渡し日調整ができるか事前に相談する。
欠点③:周辺環境が未整備
新築物件は、開発途上のエリアや新興住宅地に建てられることも多い。すると、周辺の生活インフラがまだ整っておらず、コンビニやスーパーが遠い、駅までの道が暗い、舗装が未完成といった生活面での不便が起こることがある。
よくあるケース:
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ゴミ集積場の場所が決まっておらず、ゴミ出しルールが混乱
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工事車両や重機の騒音が続く(他の棟の建設中など)
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道路や街灯が設置されていない
対策:Googleマップのストリートビューや現地訪問で、現在の生活環境を確認する。
欠点④:初期不具合(建物・設備)が多い
新築物件は「まだ誰も住んでいない」という意味での“新品”だが、裏を返せば「使用されていないため、不具合が未発見である」ということでもある。
実際のトラブル例:
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エアコンが作動しない
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水漏れ・排水口の詰まり
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ドアや窓の立て付け不良
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インターネットが開通していない
これらは初期トラブルとして多くの新築物件で報告されている。
対策:引越し直後にすべての設備をチェックし、不具合があれば即時報告。管理会社の「初期対応保証期間」がいつまでかを確認しておく。
欠点⑤:家賃が割高で“更新時に下がらない”
新築プレミアムとして、同じエリア・同条件の築年数がある物件に比べ、家賃が高めに設定されていることが多い。問題は、築1年経っても家賃が下がらないこともある点。
築浅物件としての価値が保たれている間は、更新後も賃料据え置き、または値上がりする可能性さえある。
対策:2年後に住み続ける場合のコストシミュレーションをしておく。交渉や値下げを希望するなら、更新の3か月前には相談開始を。
欠点⑥:近隣住民の属性が不明
中古物件であれば、既にどんな住人が住んでいるかが分かるが、新築の場合はどんな人が入居してくるか分からない。騒音トラブル、ルール無視、駐輪マナーなどの問題が発生する可能性もある。
また、新築物件は「一斉に同じ時期に入居者が入る」ため、ゴミ出しや郵便、騒音などのマナーが浸透していないことが多く、最初の数ヶ月は混乱しがちである。
対策:管理会社がきちんと管理している物件か、巡回や清掃体制が整っているかを事前に確認する。
新築を選ぶ前に確認したいチェックリスト
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図面だけでなく、現地や同グレード物件の見学ができるか?
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入居希望日に引き渡しが確実か?遅延時の対応は?
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ゴミ出しルールや設備マニュアルは整備されているか?
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周辺の生活インフラ(スーパー・駅・病院)は整っているか?
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初期不良への修理体制と連絡先は明示されているか?
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家賃が相場より高すぎないか?更新後の条件も想定済みか?
新築に惑わされず、実態を見る
「新しい=完璧」ではない。新築物件には見た目や設備の魅力がある一方で、実際に暮らして初めてわかる“盲点”や“未完成な部分”があることを知っておくことが大切だ。
重要なのは、見た目のきれいさだけでなく、生活動線、設備、管理、周辺環境など**“暮らしのリアル”を想像しながら物件を選ぶこと**。事前の確認と準備が、快適な新生活への第一歩になる。