2025/06/19
築古物件でも快適に住める条件とは?

物件探しで「築30年」「築40年」といった表記を見ると、「ボロいのでは?」「設備が古そう」と不安になる方も多いだろう。日本では、物件検索サイトでも築年数の浅さが強調されがちで、“新しいほうがよい”という思い込みが根強い

しかし、実際には築年数が古くても、リフォームや管理状態によって快適に暮らせる物件は数多く存在する。 築古物件の中には、新築にはない魅力やコストパフォーマンスの高さが備わっていることも少なくない。

この記事では、「築年数は古いけれど、安心・快適に暮らせる物件とはどんな条件なのか?」を、現実に即して解説していく。


「築古=劣化」とは限らない

まず前提として、築年数はあくまで“目安”であり、実際の住み心地を決めるのは「管理状況」と「リフォームの有無」である。

たとえば、築30年の物件でもフルリノベーションされていれば、見た目も設備も築浅物件と遜色ないこともある。一方、築10年でもほとんど手入れがされていない物件は、住み心地が悪くなる可能性が高い。


快適に暮らせる築古物件の条件7選

1. 室内リフォーム・リノベーション済み

築古物件を選ぶうえで最も重要なのが、「どこまで修繕・更新されているか」。

以下のようなポイントが押さえられていれば、築年数にかかわらず快適な生活ができる可能性が高い。

  • 水回り(キッチン・バス・トイレ)が新しい

  • 壁紙・床材が張り替えられている

  • 建具(ドア・窓・収納扉)が劣化していない

  • コンセント・照明が現代的な仕様になっている

  • エアコンなどの設備が交換済み

ポイント:現地内見時には、「リフォーム内容」を書面で確認し、どの部分がいつ更新されたかをチェックする。


2. 建物の耐震性能に問題がない

1981年以前の建物は、旧耐震基準で建てられていることが多く、構造の安全性を確認することが重要

ただし、1981年以前の物件でも「耐震補強工事済み」「大規模修繕済み」などの記載があれば、安心材料になる。

確認ポイント

  • RC造(鉄筋コンクリート)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)のほうが木造より耐久性が高い

  • 建物全体の修繕履歴があるか(外壁・屋上・共用配管など)

  • 管理会社またはオーナーに耐震診断の有無を確認できるか


3. 給排水・電気系統がメンテナンスされている

築古物件では、水道管の老朽化、ガス設備の不調、ブレーカー容量不足などが起こりやすい。生活の質を左右するインフラ部分こそ見落とされやすいが、実は最重要ポイント。

チェックリスト

  • 水圧に違和感はないか?

  • トイレ・排水口から異臭はないか?

  • ブレーカー容量(20A未満など)が低すぎないか?

  • IHコンロ設置可否、ネット回線の引き込み状況


4. 管理状況が良好である

共用部(廊下・階段・エントランス)の掃除が行き届いているかどうかは、その物件がきちんと管理されているかを見極める重要な指標

古い物件でも、以下が保たれていれば安心して暮らせる:

  • 郵便ポストや掲示板が整理されている

  • 雨どいやゴミ置き場が清潔

  • 防犯カメラやインターホン設備が機能している

  • 定期的な清掃・点検体制がある(管理人巡回など)


5. 家賃と広さ・立地のバランスが良い

築古物件の最大の魅力は、コストパフォーマンスの良さである。

新築では高額になりがちな人気エリアでも、築年数のある物件なら手頃な価格で借りられる可能性がある。特に以下のような物件は“掘り出し物”となることが多い:

  • 駅近・商店街隣接・大型公園のそば

  • 収納が広い(押入れや床下収納など)

  • 天井が高く、日当たりが良い


6. 遮音性や断熱性が確保されている

古い木造アパートなどは、壁が薄く隣室の音が気になるというデメリットがある。RC造のマンションや、二重サッシが導入されている物件であれば、騒音や断熱に関する不安を軽減できる。

内見時のチェックポイント

  • 室内で話し声を出してみて反響や漏れ方を確認

  • 窓を開けて外の交通音をチェック

  • エアコンの効きやすさを確認(断熱材の目安になる)


7. 契約条件が明確で柔軟

築古物件では、オーナーや不動産会社が家賃交渉・初期費用の相談に応じやすい傾向がある。

  • 敷金・礼金ゼロ

  • フリーレント1ヶ月付き

  • 仲介手数料半額

  • 家賃交渉への柔軟性がある

こうした条件が揃えば、初期コストも抑えられ、入居のハードルも下がる。


築古物件を内見する際のポイント

チェック項目 確認内容
設備の更新状況 水回り・エアコン・給湯器などが最近交換されているか
建物の劣化具合 外壁のヒビ・サビ・雨漏り跡などがないか
におい・湿気 室内にカビ臭や湿気を感じないか
セキュリティ オートロックやインターホン、防犯対策が施されているか
共用部の清掃状況 ゴミ置き場や階段、廊下がきちんと掃除されているか
周辺環境 コンビニ、スーパー、病院、駅からの距離や生活のしやすさ

築年数より中身を見る目を

築古物件は一見すると不安要素も多いが、管理状態や設備更新がしっかりしていれば、築年数を忘れるほど快適に暮らせるケースも多い。

むしろ、広さ・立地・コストパフォーマンスの面では、新築物件を凌ぐこともある。見た目の数字に惑わされず、“築何年か”ではなく“どう使われてきたか”を見る目を持つことが、良い物件と出会うための鍵になる。