2025/06/19
エアコンが壊れた!修理費は誰が負担する?

日本の夏・冬を快適に乗り切るために欠かせないエアコン。賃貸物件でも「エアコン付き」の部屋は当たり前のようになっているが、実際に使っている中で**「急に冷風が出なくなった」「異音がする」「電源が入らない」**といったトラブルが発生することは珍しくない。

このとき、多くの人が真っ先に疑問に思うのが、

「修理費は自分が払うの?それとも大家さん?」

という点だ。

この記事では、エアコン故障時の費用負担の基本ルールや、ケースごとの判断基準、トラブルになりやすい例とその対策について、賃貸住宅の契約実務に即して詳しく解説する。


原則:経年劣化による故障は大家(貸主)負担

賃貸住宅に設置されている設備(エアコン・給湯器・キッチンなど)は、原則として**大家が修繕・交換する義務を負う「貸与設備」**に該当する。

特にエアコンのように、もともと部屋の設備として備え付けられていたものであれば、経年劣化や通常使用による故障は、大家または管理会社が負担するのが一般的だ。


借主(入居者)負担になるケースとは?

以下のような場合は、借主の過失や故意による損傷と見なされ、修理費の一部または全額を請求される可能性がある。

1. 掃除・手入れ不足による故障

フィルターの清掃を長期間怠ったことによる詰まり、カビ、異臭などは、借主の管理義務違反とされることがある。

2. 破損・落下・改造などによる損傷

子どもがぶつかってリモコンを破損、無理な操作でパネルが割れた、DIYで無理な取り付けをした場合など。

3. 故障を放置して悪化させた場合

異音や冷えにくさを感じながらも数か月放置し、修理が困難になったケースでは、対応の遅れが問われることも。


修理費用の「誰が払うか」は契約書に書いてある

実際の費用負担は、賃貸借契約書の設備条項や特約欄に明記されていることが多い。以下のような表記に注意したい。

よくある表記例:

  • 「エアコンは貸与設備とする」→ 大家が修理・交換を行う

  • 「エアコンは残置物とし、性能保証はしない」→ 借主の責任で使用(故障しても修理・交換なし)

  • 「修理費用の上限●円を借主が負担する」→ 一部費用のみ負担が発生する場合あり

ポイント:入居前に「エアコンが貸主設置の設備か、残置物か」を必ず確認することが大切。


エアコンが壊れたときの正しい対応ステップ

  1. まずは貸主または管理会社に連絡する
     → 自分で修理業者を呼ばず、必ず事前報告を行う。

  2. 症状や状況を具体的に伝える
     → 「冷風が出ない」「リモコンが反応しない」「異音が続く」など。

  3. 原因調査と見積もりを依頼する
     → 管理会社が提携業者に依頼し、費用と原因を明らかにする。

  4. 費用負担者が明確になるまでは自己判断で支払わない
     → 自分で業者を呼んで支払った場合、費用が戻らないことがある。


入居前・入居時にできる予防策

  • 契約書に設備区分が明記されているか確認する

  • 入居時のエアコン状態を写真・動画で記録する

  • 定期的にフィルター掃除・試運転を行う

  • 異常を感じたらすぐに管理会社へ報告する


エアコン交換になる場合の注意点

エアコンが修理不能で交換となった場合、設置には数日〜1週間ほどかかることがある。特に夏場は繁忙期となり、すぐに対応できないことも多い。

その間の対応例:

  • 一時的に貸与された扇風機・冷風機で対応

  • 賃料減額・ホテル滞在費用の一部補助などが協議される場合もある

※ただし、これらの対応は物件や管理会社ごとに異なるため、事前の相談が必須。


残置物エアコンとは?注意すべき点

「残置物」とは、前の入居者やオーナーが**“サービスで残していった設備”**のこと。エアコン・照明・カーテンレールなどが該当することがある。

残置物エアコンは、以下のリスクがある:

  • 故障しても修理・交換は貸主の義務ではない

  • 性能保証がないため、突然壊れる可能性も

  • 自分で交換する場合、撤去・処分費がかかることもある


トラブル回避のカギは「契約確認と早めの連絡」

エアコンの修理費用は、誰が原因を作ったのか・契約上どう扱われているかによって変わる。入居前に契約書をよく確認し、入居後も不具合があればすぐに管理会社へ連絡することが、トラブルを未然に防ぐ最大の方法である。

「エアコンが使えない=生活に直結する問題」だからこそ、“壊れたときにどう動けるか”が快適な暮らしを守るポイントになる。