日本の夏・冬を快適に乗り切るために欠かせないエアコン。賃貸物件でも「エアコン付き」の部屋は当たり前のようになっているが、実際に使っている中で**「急に冷風が出なくなった」「異音がする」「電源が入らない」**といったトラブルが発生することは珍しくない。
このとき、多くの人が真っ先に疑問に思うのが、
「修理費は自分が払うの?それとも大家さん?」
という点だ。
この記事では、エアコン故障時の費用負担の基本ルールや、ケースごとの判断基準、トラブルになりやすい例とその対策について、賃貸住宅の契約実務に即して詳しく解説する。
原則:経年劣化による故障は大家(貸主)負担
賃貸住宅に設置されている設備(エアコン・給湯器・キッチンなど)は、原則として**大家が修繕・交換する義務を負う「貸与設備」**に該当する。
特にエアコンのように、もともと部屋の設備として備え付けられていたものであれば、経年劣化や通常使用による故障は、大家または管理会社が負担するのが一般的だ。
借主(入居者)負担になるケースとは?
以下のような場合は、借主の過失や故意による損傷と見なされ、修理費の一部または全額を請求される可能性がある。
1. 掃除・手入れ不足による故障
フィルターの清掃を長期間怠ったことによる詰まり、カビ、異臭などは、借主の管理義務違反とされることがある。
2. 破損・落下・改造などによる損傷
子どもがぶつかってリモコンを破損、無理な操作でパネルが割れた、DIYで無理な取り付けをした場合など。
3. 故障を放置して悪化させた場合
異音や冷えにくさを感じながらも数か月放置し、修理が困難になったケースでは、対応の遅れが問われることも。
修理費用の「誰が払うか」は契約書に書いてある
実際の費用負担は、賃貸借契約書の設備条項や特約欄に明記されていることが多い。以下のような表記に注意したい。
よくある表記例:
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「エアコンは貸与設備とする」→ 大家が修理・交換を行う
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「エアコンは残置物とし、性能保証はしない」→ 借主の責任で使用(故障しても修理・交換なし)
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「修理費用の上限●円を借主が負担する」→ 一部費用のみ負担が発生する場合あり
ポイント:入居前に「エアコンが貸主設置の設備か、残置物か」を必ず確認することが大切。
エアコンが壊れたときの正しい対応ステップ
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まずは貸主または管理会社に連絡する
→ 自分で修理業者を呼ばず、必ず事前報告を行う。 -
症状や状況を具体的に伝える
→ 「冷風が出ない」「リモコンが反応しない」「異音が続く」など。 -
原因調査と見積もりを依頼する
→ 管理会社が提携業者に依頼し、費用と原因を明らかにする。 -
費用負担者が明確になるまでは自己判断で支払わない
→ 自分で業者を呼んで支払った場合、費用が戻らないことがある。
入居前・入居時にできる予防策
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契約書に設備区分が明記されているか確認する
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入居時のエアコン状態を写真・動画で記録する
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定期的にフィルター掃除・試運転を行う
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異常を感じたらすぐに管理会社へ報告する
エアコン交換になる場合の注意点
エアコンが修理不能で交換となった場合、設置には数日〜1週間ほどかかることがある。特に夏場は繁忙期となり、すぐに対応できないことも多い。
その間の対応例:
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一時的に貸与された扇風機・冷風機で対応
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賃料減額・ホテル滞在費用の一部補助などが協議される場合もある
※ただし、これらの対応は物件や管理会社ごとに異なるため、事前の相談が必須。
残置物エアコンとは?注意すべき点
「残置物」とは、前の入居者やオーナーが**“サービスで残していった設備”**のこと。エアコン・照明・カーテンレールなどが該当することがある。
残置物エアコンは、以下のリスクがある:
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故障しても修理・交換は貸主の義務ではない
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性能保証がないため、突然壊れる可能性も
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自分で交換する場合、撤去・処分費がかかることもある
トラブル回避のカギは「契約確認と早めの連絡」
エアコンの修理費用は、誰が原因を作ったのか・契約上どう扱われているかによって変わる。入居前に契約書をよく確認し、入居後も不具合があればすぐに管理会社へ連絡することが、トラブルを未然に防ぐ最大の方法である。
「エアコンが使えない=生活に直結する問題」だからこそ、“壊れたときにどう動けるか”が快適な暮らしを守るポイントになる。