日本で部屋を借りるとき、外国人入居者が最初に向き合うのが「入居審査」。
この審査において、家賃の支払い能力や人柄などと並んで、“どんなビザを持っているか”=在留資格が重要な判断材料の一つになっているのが現実です。
「私はこのビザだけど、契約できる?」「どのビザが不利になるの?」
そうした疑問を持つ方に向けて、本記事ではビザの種類と賃貸審査の関係性を、事実ベースでわかりやすく解説します。
賃貸審査でビザが見られる理由とは?
オーナーや不動産会社は、以下のような観点から「在留資格」をチェックしています:
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契約期間中、日本に合法的に滞在できるか
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安定した収入や所属先があるか
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保証会社の審査に通る可能性があるか
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長期的な居住が見込めるか
つまり、「どのビザでも一律でOK」というわけではなく、在留資格によって“信用力”に差があると見なされる傾向があります。
主な在留資格と賃貸審査の印象・実情
ここでは、代表的なビザの種類を、**“審査の通りやすさ(=オーナーや保証会社の受け入れやすさ)”**を軸に整理します。
✅【通りやすい傾向にあるビザ】
1. 永住者(Permanent Resident)
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最も信用度が高いとされる
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契約期間の制限がなく、保証人不要でも通ることが多い
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国内収入があれば、日本人とほぼ同等の扱い
2. 定住者(Long-term Resident)
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家族を含め長期滞在が前提のため、居住安定性あり
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職業や年収に問題がなければ、比較的通りやすい
3. 日本人の配偶者等/永住者の配偶者等
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日本人と結婚・家族関係にある場合
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在留期限があっても再更新が見込まれやすく、評価されやすい
⚖️【通るかどうかは個別条件次第】
4. 技術・人文知識・国際業務(就労ビザの一種)
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一般企業で働いている外国人が多く持つビザ
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在籍証明書や給与明細で支払い能力を示せれば、問題なく審査通過が可能
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滞在期間が短い(残り1年未満)の場合、保証会社が警戒することも
5. 特定技能(Specified Skilled Worker)
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飲食、介護、製造など特定業種の労働者が対象
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日本語能力や在籍期間によって評価が分かれる
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寮からの引越し時などは、サポート付き不動産会社を使うとスムーズ
6. 留学(Student)
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学生寮を出て一人暮らしを希望する人に多い
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奨学金や仕送り証明、銀行残高などで支払い能力を証明する必要あり
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安定収入がないため、保証会社の審査が厳しくなる傾向
7. 家族滞在(Dependent)
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日本で働く人の配偶者や子どもなど
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単体では収入証明が難しいため、扶養者の在職証明や収入証明が必要
❌【審査が厳しくなる傾向のあるビザ】
8. 短期滞在(Temporary Visitor)
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滞在期間が最長90日以内で、就労不可
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基本的に賃貸契約は不可。ホテルやマンスリーマンションが対象
9. 研修/技能実習
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滞在先が企業や団体によって決まっていることが多く、個人契約が難しい
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寮からの引越しには、団体・管理者の同意が必要
保証会社の“受け入れ方針”にも差がある
保証会社ごとに外国籍の審査基準が異なります:
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一部の保証会社は「外国籍NG」「留学生NG」と明記している
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逆に「外国人特化型の保証会社」では、ビザに関わらず柔軟な対応をしてくれる
💡外国籍入居者向けの不動産会社を通すと、審査に通りやすい保証会社を最初から選んでくれることが多いです。
ビザ以外にも審査を左右するポイント
項目 | 審査への影響 |
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在留期間の残り | 1年以上あると安心される。半年未満だと警戒されやすい |
雇用形態 | 正社員・契約社員・アルバイトで評価に差が出る |
日本語能力 | トラブル回避の観点から「日本語での対応」が重要視されることも |
支払い能力 | 給与明細・通帳の残高などで証明できるかがカギ |
緊急連絡先 | 日本国内に連絡可能な人がいると安心材料になる |
審査に通りやすくするためのアドバイス
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必要書類を正確に・早めに揃える(在留カード、在籍証明、住民票など)
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家賃を収入の3分の1以内に抑える物件を選ぶ
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保証会社の条件を事前に確認する
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外国人入居可の物件や不動産会社を利用する
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通訳を同席させる or 日本語が話せる保証人をつけると安心
「ビザだけで判断されるわけではない」
在留資格は賃貸審査の“ひとつの要素”であり、それだけで通る/落ちると決まるわけではありません。
きちんと書類を整え、誠実に生活する姿勢を示すことが、結果的に良い信頼を築きます。
ビザに不安がある方も、外国籍向けに強い不動産会社や保証会社を選ぶだけで、契約の難易度は大きく下がるはずです。