2025/06/19
予算の立て方|初期費用と月額費用の内訳を知ろう

日本で部屋を借りるとき、「家賃だけあれば住める」と思っていませんか?

実際には、契約時にまとまった金額の“初期費用”が必要であり、入居後も“月額費用”として家賃以外の支払いが継続して発生します。
これをきちんと把握していないと、「思ったよりお金がかかって引越しできない」「生活が苦しくなった」という事態につながることもあります。

この記事では、日本で賃貸契約をする際に必要な初期費用と月額費用の内訳を具体的に紹介し、安心して住まい探しを進めるための予算の立て方を解説します。


はじめに:日本の賃貸は“初期費用が高め”

外国人や日本での生活に慣れていない方にとって、まず驚くのが「初期費用の高さ」です。
家賃の数か月分を一括で支払うのが一般的で、初期費用の総額は「家賃の4~6ヶ月分」になることもあります。


【1】初期費用の内訳

1. 敷金(Deposit)

家賃の1ヶ月分程度が多く、退去時の原状回復費用に充てられます。
未使用分は返金されますが、クリーニングや修繕が必要な場合は差し引かれます。

2. 礼金(Key Money)

家賃の1ヶ月分が相場で、オーナーへの“お礼”として支払います。
返金されない費用です。
※最近は「礼金ゼロ」の物件も増えています。

3. 仲介手数料(Agent Fee)

不動産会社への手数料で、通常は家賃の1ヶ月分+消費税です。

4. 保証会社利用料(Guarantor Company Fee)

日本人の保証人がいない場合、保証会社を利用するのが一般的。
初回費用として、**家賃の50~100%相当+年間更新料(1万円程度)**がかかります。

5. 火災保険料(Fire Insurance)

2年間の契約で、15,000円〜25,000円前後が相場。
物件によっては指定の保険会社を使う必要があります。

6. 鍵交換費用

セキュリティ対策として、新しい入居者には鍵交換費用が請求されることが多く、相場は15,000〜30,000円程度です。

7. 前家賃(初月分の家賃)

契約時に、入居月の家賃1ヶ月分を前払いするのが一般的です。

8. その他

  • サポートサービス加入費(任意・数千円〜)

  • 害虫駆除や除菌消臭サービス(任意〜強制)

  • 書類作成手数料、消費税など


▶ 初期費用の一例(家賃80,000円の場合)

費用項目 金額の目安
敷金 80,000円
礼金 80,000円
仲介手数料 88,000円(税別)
保証会社利用料 40,000〜80,000円
火災保険料 20,000円
鍵交換費 20,000円
前家賃 80,000円
合計 約41万〜45万円前後

【2】月額費用の内訳

1. 家賃(Rent)

最も大きな固定支出。
目安としては、手取り収入の3分の1以内に収めるのが理想です。

2. 共益費・管理費

建物の共用部分(廊下・ゴミ置き場・エレベーターなど)の維持管理費。
毎月3,000〜10,000円程度かかることが多く、家賃とは別に請求されます。

3. 水道・光熱費

  • 電気:月5,000〜10,000円

  • ガス:月4,000〜8,000円(都市ガス/プロパンで差あり)

  • 水道:2ヶ月で3,000〜5,000円程度(地域差あり)

4. インターネット利用料

物件によっては「ネット無料」のところもありますが、別契約の場合は月3,000〜6,000円前後

5. 火災保険の更新料(年1回または2年に1回)

6. 保証会社の更新料(年1回・約10,000円)


【3】初期費用を抑える工夫

  • 「敷金・礼金ゼロ」物件を探す

  • 仲介手数料が「0.5ヶ月」や「無料」の会社を利用する

  • 家具付き物件で、初期購入コストを抑える

  • フリーレント(入居初月家賃無料)の物件を検討する

  • 不要なオプション(消臭施工など)は断る

💡ただし「初期費用ゼロ」は、代わりに月額費用が高く設定されていることもあるため、トータルで比較する視点が大切です。


【4】入居前に確認しておきたい質問リスト

  • 管理費・共益費は家賃に含まれているか?

  • インターネットは無料か?有料か?

  • 水道・電気・ガスの契約は入居者がするのか?

  • 保証会社の更新料はいくらか?

  • 火災保険の契約期間と更新料は?


予算計画は「初期+月額+想定外」で考える

日本の賃貸契約は、初期費用が高めに設定されている分、契約後は比較的安定した生活が送れるしくみです。
しかし、生活を始めるには初期費用に加えて、家具・家電の購入費や引越し費用もかかります。

そのため、家探しの段階では「家賃」だけを見るのではなく、入居時にいくら必要なのか、毎月いくら払うのか、そして想定外の支出に耐えられるかまで考えて予算を立てましょう。

一度しっかり整理しておけば、その後の生活はきっとスムーズになります。