物件検索サイトで「相場より1〜2万円も安い!」という部屋を見つけると、思わず嬉しくなる。
しかし、家賃が安いのには必ず理由がある。“当たり物件”もあれば、契約後に後悔する“ワケあり物件”もあるのが現実だ。
本記事では、家賃が安く設定される代表的な理由を7つ挙げ、その裏側と対策を解説する。安さの本質を見抜き、自分にとって「賢い選択」かどうかを判断する目を養おう。
1. 立地に難あり:駅徒歩20分以上・坂道・バス便頼み
裏にあるリスク
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通勤・通学に時間と体力を消耗
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夜道が暗く、治安や防犯面の不安
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雨の日や猛暑日はタクシー・バス代がかさむ
見抜くポイント
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実際に歩いて所要時間を測定(広告は80m=徒歩1分計算)
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昼と夜の2回現地へ行き、街灯・人通りをチェック
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最寄りのバス停時刻表を確認し、運行本数と終バス時刻を把握
2. 築年数が古いのにリフォーム未実施
裏にあるリスク
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給湯器・エアコンが旧型で故障しやすい
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断熱・防音性能が低く、光熱費が高くつく
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給排水管の劣化による漏水トラブル
見抜くポイント
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内見で水回りの年代・型番を写真に押さえ、設置年を調べる
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壁紙・床材だけ張り替えた“見せかけリフォーム”でないか確認
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給排水のパイプスペースにサビ・水漏れ跡がないかチェック
3. 周辺環境のデメリット:騒音・異臭・電波障害
裏にあるリスク
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幹線道路・鉄道沿線→車両音・振動で睡眠の質低下
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飲食店密集エリア→深夜の騒音・ゴミ出し臭
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高圧鉄塔や大型工場→電波干渉、空気の汚れ
見抜くポイント
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Googleマップの航空写真+ストリートビューで近隣施設を事前確認
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窓を開け、昼と夜に周波数の違う騒音を聴き比べる
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スマホの電波計測アプリで通信速度を測定(在宅ワーク勢は特に重要)
4. 事故物件・心理的瑕疵がある
裏にあるリスク
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死亡事故・事件などで入居ペースが遅くなり、家賃を下げざるを得ない
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内見時に説明されないケースもある(一定期間経過後は告知義務が緩和)
見抜くポイント
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募集図面に「告知事項あり」「心理的瑕疵あり」と小さく記載されていないか
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内見時に**「この部屋が長期間空室だった理由」を必ず質問**
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情報開示が曖昧な場合は、住所を検索し報道記事や掲示板を調べる
5. 管理・メンテナンス不良で共用部が荒れている
裏にあるリスク
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ゴミ置き場が汚い、郵便受けが壊れたまま→住人マナーが悪い傾向
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共用灯が切れたまま→防犯上も不安
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管理費に見合うサービスが受けられず、将来的な資産価値も低下
見抜くポイント
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エントランスや自転車置き場のゴミ・私物放置をチェック
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掲示板に苦情の貼り紙が多い場合は要注意
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管理会社の巡回頻度を質問し、回答が曖昧なら黄色信号
6. 期間限定キャンペーン:フリーレント・家賃○ヶ月割引
裏にあるリスク
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契約から1年以内の解約で違約金(家賃1ヶ月分)などの特約あり
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“更新後に家賃が元の相場へ戻る”ケース
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フリーレント分を上乗せした高い更新料が設定されている場合も
見抜くポイント
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特約条項を全文確認し、違約金の有無をメモ
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「2年目から家賃変更なし」と明記されているか確認
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割引後の家賃を基準にせず、割引前の“本来家賃”でコスパを判断する
7. 借主属性を選ぶ物件:シェアハウス・外国籍限定など
裏にあるリスク
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住人の入れ替わりが多く、生活リズムが合わない
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ルールが細かく、自由度が低い
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プライバシーやセキュリティが弱い場合も
見抜くポイント
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共用部の利用ルール・清掃体制を事前に確認
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入居者の平均滞在期間や国籍比率を聞き、生活リズムを想像
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個室の壁厚や鍵の有無など、プライバシー確保を確認
安い物件を「掘り出し物」にするための3ステップ
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内見は必ず2回以上、異なる時間帯に行く
→ 騒音・日当たり・治安を体感でチェック -
費用総額をシミュレーション
→ 敷金礼金・更新料・保険料・光熱費を含め、2年間の総コストで比較 -
疑問はすべて書面に残す
→ 口頭説明より、メールや文書で確認し、トラブルに備える
安さの“理由”が自分にとってデメリットかを判断する
家賃が安いのは必ずしも悪いことではない。
大きなデメリットだと思われる要因でも、ライフスタイルによっては気にならない場合がある。
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日中不在 → 幹線道路沿いの騒音は気にならない
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ペットなし → ペット可ゆえの床傷リスクは関係ない
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体力に自信あり → 駅徒歩20分の坂道も運動になる
大切なのは、安さの裏に潜む理由を「知ったうえで」選択すること。
広告の数字に惑わされず、現地確認と契約書チェックでリスクを可視化し、自分にとって最適なコストパフォーマンスを見極めよう。