2025/06/17
敷金・礼金・仲介手数料…結局いくら必要?初期費用の全体像

「家賃8万円の部屋を借りたい。でも実際には“最初に40万円かかる”ってどういうこと?」
賃貸契約では、家賃とは別に初期費用が発生する。この初期費用は、家賃の4〜6ヶ月分に及ぶこともあり、契約時に資金を用意できないと入居できない。

この記事では、日本の賃貸住宅における初期費用の内訳とその意味、金額の目安、注意すべきポイントをわかりやすく解説する。外国籍の方や初めての一人暮らしでも、この記事を読めば「何にいくらかかるのか」が明確になるはずだ。


1. 初期費用に含まれる主な項目一覧

項目 内容 相場(家賃8万円の場合)
敷金(しききん) 退去時の修繕費に充てる「預け金」。未使用分は返金あり 家賃の1ヶ月分(8万円)
礼金(れいきん) オーナーへの謝礼金。返金なし 家賃の1ヶ月分(8万円)
仲介手数料 不動産会社への紹介料。契約成立時に支払い 家賃の1ヶ月分+税(8.8万円)
前家賃 契約月の家賃(または日割り分)を先払い 家賃の1ヶ月分(8万円)
保証会社利用料 連帯保証人の代替として支払う保証サービス料 家賃の50〜100%(4〜8万円)
火災保険料 万が一の火災・水漏れに備える保険(2年間分一括) 1.5〜2万円
鍵交換費用 セキュリティのために新しい鍵へ交換する費用 1.5〜2万円
事務手数料・消毒費など 管理会社独自の手数料やオプション費用 0〜2万円(任意〜強制)

合計:約41万〜47万円(家賃8万円の場合)


2. 各費用の意味と注意点

● 敷金とは?

入居時にオーナーへ預ける保証金で、退去時のクリーニング費用や原状回復費に充てられる。
原則として、修繕に使われなかった分は返還されるが、「経年劣化」と「借主の過失」の線引きが曖昧になることもあるため、契約書の「原状回復条項」は必ず確認すること。


● 礼金とは?

戦後の慣習として残る“お礼文化”であり、返金は一切なし
礼金ゼロの物件も増えているが、そうした物件は家賃が相場より高めに設定されているケースもある。


● 仲介手数料とは?

不動産会社に支払う手数料。宅地建物取引業法により、原則として家賃1ヶ月分が上限(消費税込で1.1ヶ月)。
物件によっては「手数料半額」や「無料」のキャンペーンを行っていることもある。


● 保証会社利用料とは?

日本では保証人を求められることが多いが、保証人がいない人向けに保証会社を使うのが一般的
家賃の50〜100%が初回に必要で、1年ごとに更新料(1万円前後)が発生する。


● 火災保険料とは?

火災だけでなく、水漏れ・爆発・隣室への損害などをカバーする保険。
物件指定の保険会社がある場合もあるので、加入先と補償内容は事前に確認を。


● 鍵交換費用とは?

防犯対策として、入居者が変わるたびに鍵を新しくするのが通例
費用は物件によって異なり、ディンプルキーなど特殊な鍵だと高額になる。


3. 節約できる費用はある?

✔ 敷金・礼金ゼロ物件を選ぶ

最近は「初期費用ゼロ」を売りにする物件も増えており、敷金・礼金がゼロでも借りられることがある。ただし、そのぶん退去時のクリーニング代が請求されたり、家賃が相場より高めに設定されていることも。


✔ 仲介手数料が割引・無料の会社を探す

大手不動産ポータルや店舗独自のキャンペーンで、手数料半額または無料になるケースもある。ただし、人気物件は割引対象外のことが多い。


✔ 不要なオプション費用を断る

消臭・抗菌施工、除菌スプレー、24時間サポートなどのオプションは、原則として任意
「必要ありません」と伝えれば削減できるケースがある。


4. 支払いタイミングに注意

初期費用は「契約書への署名捺印と同時に全額一括で支払い」が原則。
現金振込が基本であり、クレジットカード払いや分割払いが可能な不動産会社はまだ少数派。

→ 契約前に、支払い方法と期限を必ず確認しておくこと。


5. 初期費用の目安は「家賃の4~6ヶ月分」

家賃 想定初期費用(目安)
6万円 25〜35万円
8万円 35〜45万円
10万円 45〜55万円

物件の条件によって変動するが、最低でも家賃3ヶ月分、ゆとりをもって6ヶ月分の資金を用意しておくと安心


初期費用は“総額”と“中身”を両方見る

初期費用を抑えたいときは、ただ「安い物件」を探すのではなく、どの費用をどれだけ削れるか・逆に何が後で請求されるのかを事前に把握することが大切。

わからない項目があれば、不動産会社に確認し、費用の内訳は必ず書面で提示してもらう
納得したうえで契約することが、安心して新生活を始める第一歩になる。