水が止まらない、エアコンが効かない、ドアノブが外れた――
賃貸物件に住んでいると、日々の生活の中で何かしらの設備トラブルが起きるもの。
そのときに必ず出てくる疑問が、「これは誰に連絡するべき?」そして「修理代は誰が払うの?」ということ。
この記事では、トラブル時の連絡先の判断基準と、修理費の負担区分の基本ルールを、実際の事例を交えてわかりやすく解説します。
まず大前提:借主が勝手に業者を呼ばない
何かトラブルが起きたときに、自己判断で修理業者を手配するのは避けるべきです。
たとえ修理を急いでいたとしても、管理会社やオーナーに連絡せずに対応すると、後から費用が自己負担になる可能性が高いです。
まずは必ず、**契約書や入居時の案内資料に記載されている「連絡先」**を確認しましょう。
トラブル時の基本的な連絡先の目安
トラブル内容 | 連絡すべき相手 | 備考 |
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設備の故障(エアコン、給湯器、照明など) | 管理会社 or オーナー | 賃貸人側の所有物に該当するため |
水漏れ・排水詰まり | 管理会社 | 応急処置後、業者を手配してくれる |
鍵の故障・紛失 | 管理会社 or 指定の鍵業者 | 紛失の場合は借主負担が基本 |
ガスの異常 | ガス会社 | ガス臭いと感じたら直接ガス会社へ即連絡 |
火災報知器の異常 | 管理会社 | 点検業者の連絡先が貼ってある場合もある |
自分で壊した(家具ぶつけた、落として割れた) | 管理会社 | 借主責任になる可能性が高いため正直に報告すること |
修理費用の負担区分|どこまでが借主負担?
一般的に、費用負担の原則は以下のように分かれます。
【貸主(オーナー)負担】
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設備の経年劣化・自然故障(例:給湯器の寿命、古い換気扇の故障)
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建物の構造・配管系統の不具合(例:壁のひび割れ、屋根からの雨漏り)
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最初から設置されているエアコン・照明・ガスコンロなどの不調
【借主負担】
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不注意や誤操作による破損(例:落とした物で洗面台を割った)
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清掃不足によるカビや詰まり(例:換気扇の汚れ放置、水回りのヘドロ詰まり)
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鍵の紛失、リモコンの電池交換、電球・蛍光灯の交換
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ペットによる損傷、壁紙の引っかき傷
→ 原則として、“経年劣化”と“過失・不注意”が分かれ目になります。
トラブル時に確認すべき書類と情報
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契約書・重要事項説明書
→ 修繕の範囲・連絡先・費用負担の取り決めが記載されている -
入居時にもらった「入居のしおり」や「管理マニュアル」
→ トラブル別の連絡先、24時間対応窓口などが記載されていることもある -
保証会社または火災保険の内容
→ 保険で補償されるケース(例:漏水による他室被害など)もあるため確認
よくあるケースと判断の目安
▸ エアコンから水が漏れてきた
→ 経年劣化や設置ミスによる場合はオーナー負担。
→ フィルター未清掃による詰まりなら借主負担の可能性も。
▸ 洗面台がひび割れてきた
→ 自然劣化であれば貸主負担。重いものを落としたなら借主負担。
▸ シャワーホースの根元から水が噴き出す
→ 設備劣化なら貸主が交換対応。
→ 自分で無理に引っ張って壊した場合は借主負担。
緊急時の対応はどうすればいい?
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水漏れ:止水栓を閉める(キッチンや洗面下にある)
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ガス異常:すぐに換気してガス会社へ連絡(火気厳禁)
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ブレーカーが落ちた:使用電力を確認し、問題なければ元に戻す
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漏電・発煙:ブレーカーを落とし、管理会社と電力会社へ連絡
→ 応急処置をしたうえで、必ず管理会社へ報告。
業者手配や費用負担の判断は、管理側の指示を仰ぐのが基本。
借主としてトラブルを防ぐためにできること
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入居時に設備の状態を写真で記録し、すでに劣化している箇所を報告する
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定期的に換気扇やエアコンフィルターを掃除する
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排水口にネットを設置してゴミ詰まりを防ぐ
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設備に異常を感じたら早めに報告(放置して悪化すると借主負担になることも)
日常的なトラブルの多くは、正しい連絡先を把握し、冷静に対処すれば最小限の負担で済むことが多い。
そして修理費用の負担については、「誰が壊したか」「どういう理由で壊れたか」「契約にどう書かれていたか」の3点で判断される。
わからないことがあれば、自己判断せず、まず管理会社に連絡するのが鉄則である。