2025/06/17
エアコンや給湯器の故障、貸主負担になる条件とは?

賃貸物件で生活していると、ある日突然「エアコンが冷えない」「お湯が出なくなった」といったトラブルに直面することがある。
そのときに気になるのが、**この修理費は自分が払うのか?それともオーナー(貸主)が負担してくれるのか?**という点だ。

特にエアコンや給湯器は、修理費や交換費用が数万円から数十万円になることもあり、トラブル発生時の判断が非常に重要となる。

この記事では、エアコン・給湯器が故障した場合に貸主が修理費を負担する条件と、借主に責任が生じるケース、契約時に確認すべきポイントを詳しく解説する。


原則:設備の“経年劣化による故障”は貸主負担

賃貸契約では、入居時から備え付けられている設備(エアコン、給湯器、照明など)は、貸主の所有物と見なされる。
そのため、通常使用の範囲内で発生した故障や劣化については、貸主(オーナー)が修理または交換する責任を負うのが原則となる。

この考え方は、民法や国土交通省の「原状回復をめぐるガイドライン」にも基づいている。


貸主負担となる具体的なケース

トラブル内容 状況 修理費の負担者
エアコンが冷風・暖房ともに出なくなった 設置から10年以上経過、自然故障 貸主
給湯器からお湯が出ない 経年劣化により部品が故障 貸主
リモコン操作に反応しない 電池切れを除き、本体側の受信機異常 貸主
水漏れ・異音などの機械的トラブル 入居者が特別な操作をしていない 貸主
使用開始から数ヶ月で不具合発生 初期不良または前入居者からの不備 貸主(早期対応義務あり)

特にエアコンや給湯器は消耗品ではなく“住宅設備”としての扱いとなるため、貸主が責任を負う場面が多い。


借主負担となる可能性があるケース

貸主負担が原則とはいえ、以下のような場合は借主が修理費を負担するか、全額自己負担になることもある

✅ 借主の過失による故障

例:無理な操作でリモコン受信部を破損、ホースの接続ミスで水漏れを起こした

✅ 掃除や点検を怠ったことによる不具合

例:フィルター清掃不足によりエアコンの冷却性能が低下した場合など

✅ 借主が設置した設備が故障した場合

例:自分で購入・設置したエアコンや給湯器(持ち込み機器)は当然自己責任

✅ 契約書に特約がある場合

例:「エアコンは無償貸与とし、故障時の修理費は借主負担」などと明記されていれば有効とされるケースもある


契約時・入居前に確認すべきポイント

  1. エアコン・給湯器が「設備」か「サービス品」かを明記してあるか
    → 設備=貸主が維持管理の責任を負う。サービス品=修理・交換義務なし。

  2. 設置から何年経過しているかを把握しておく
    → 家電の一般的な耐用年数(エアコン10年、給湯器10〜15年)を目安に判断。

  3. 特約条項に修理負担に関する記載があるか
    → 特に「エアコンについては借主負担」と書かれていないか注意。

  4. 入居時に不具合がないか動作確認をする
    → 初期不良はオーナーが責任を持つべき部分。入居直後の不具合はすぐに報告


修理対応の流れ

1. 故障を確認したら、まず管理会社・オーナーに連絡

  • 勝手に修理業者を呼ばない(自己負担となる可能性あり)

  • 使用状況と不具合の状況を具体的に伝える

  • 写真や動画を添えて報告できるとベスト

2. 管理会社側で現地確認または業者手配

  • 通常は1〜3営業日以内に業者が訪問

  • 故障箇所が借主責任かどうかは現地での判断による

3. 原則として貸主側が費用を負担して修理 or 交換

  • 経年劣化や初期不良であれば費用は請求されない


トラブル回避のために借主ができる予防策

  • エアコンのフィルターを月1回程度掃除する

  • 給湯器周辺(室外機・配管)に物を置かない

  • 室内の湿気や結露をこまめに換気して抑える

  • 変な音や異常を感じたら早めに連絡する(放置すると借主責任になることも)


エアコンや給湯器のような住宅設備の不具合は、日々の生活に直結する問題。
だからこそ、どのような条件で誰が責任を負うのかを、契約時点で把握しておくことが重要となる。

迷ったらまずは契約書の確認、そして勝手な判断ではなく、管理会社や貸主に早めに相談することがトラブル回避の第一歩となる。