2025/06/28
【南部】斎場御嶽と知念岬|琉球の“聖地”をめぐるパワースポット旅

沖縄本島南部には、琉球王国の精神文化を今に伝える“聖地”が点在している。なかでも「斎場御嶽(せーふぁうたき)」は、琉球信仰の中心とも言える神聖な場所。すぐ隣に広がる「知念岬公園」からは、久高島やコバルトブルーの海が一望でき、自然と信仰が重なり合う空間に身を置くことで、心が静かに整っていく。観光地というより“祈りの風景”に出会えるこのエリアは、沖縄の本質に触れるパワースポット旅にぴったりだ。


琉球王国の最高聖地・斎場御嶽

南城市知念にある斎場御嶽は、世界文化遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の一部に登録された場所。かつては男子禁制、国王やノロ(女性の祭祀者)しか足を踏み入れることができなかった神域であり、現在でも沖縄の人々にとって“特別な場所”として大切にされている。

斎場御嶽には、6つの御嶽(神域)があり、巨大な岩と岩が寄り添う“三庫理(さんぐーい)”や、神の島・久高島を望む“チョウノハナ”といった象徴的なスポットが点在。訪れると、そこだけ空気が変わるような静けさと清らかさに包まれる。鳥のさえずりや風の音が響く中で、自然と一体化したような感覚を得られるのは、この場所ならではの体験だ。

神聖な場であるため、大声を出さない、御嶽に立ち入らないといったルールを守りながら、心静かに散策したい。観光地でありながら、参拝者としての意識を忘れずに訪れることで、この地の持つ力をより深く感じることができる。


見渡す限りの絶景・知念岬公園

斎場御嶽のすぐ南に位置する「知念岬公園」は、地元でも人気の絶景スポット。断崖の上に広がる開放的な芝生の公園からは、久高島をはじめとする東海岸の島々と、果てしない青い海が広がる。晴れた日には、水平線と空の境界が曖昧になり、自然そのものが神々しい表情を見せる。

この地は、かつて久高島へ向かう「東御廻り(あがりうまーい)」という聖地巡礼の道の一部でもあり、琉球の神話や祭祀と深く関わってきた。朝日を浴びる時間帯には特に“浄化される”ような感覚があり、パワースポット巡りの仕上げにふさわしい場所だ。

ベンチに座って風にあたるだけで、心が軽くなる。誰かと語らうもよし、一人で瞑想するもよし。観光地でありながら、静かで風通しのよいこの空間は、日常の喧騒を忘れさせてくれる。


心に風が吹く、沖縄南部の“聖なる時間”

斎場御嶽と知念岬をめぐる旅は、沖縄の“観る”から“一緒に感じる”へのシフトを体験させてくれる。派手な観光とは一線を画し、静けさの中で自然と歴史、文化に触れ、自分自身と向き合う旅。那覇から車でわずか40分。慌ただしい日常から少し離れ、心に風が吹くような時間を過ごしたい人に、ぜひ訪れてほしいエリアだ。