「失われる前に遺す──海外で活躍する日本人アーティストの“うた保存活動”」

「失われる前に遺す──海外で活躍する日本人アーティストの“うた保存活動”」

「歌は生きものだ。歌い継がれなければ、風化してしまう」そう語るのは、ニューヨークを拠点に活動する邦楽シンガー・真理子氏。彼女は近年、日本のわらべ歌や民謡、昭和初期の叙情歌など、“口伝えで残されてきたうた”を海外で収集・翻唱し、記録・発信するプロジェクトを進めている。 高度にデジタル化された現代にあって、アナログな“うたの記憶”が失われようとしている今、日本出身のアーティストたちが「うたを遺す」ために立ち上がっている。 消えゆく「記憶のうた」...
「ラップと交差する“語りの文化”──江戸の端唄×現代ヒップホップ」

「ラップと交差する“語りの文化”──江戸の端唄×現代ヒップホップ」

小気味よいリズムにのせて、日常や世情を言葉で刻む──そんなスタイルは、ヒップホップだけのものではない。江戸時代の庶民が口ずさんでいた「端唄(はうた)」や「都々逸(どどいつ)」にも、実は現代ラップと通じる“語りの文化”が息づいていた。 いま、日本の伝統音楽とヒップホップが交差する新たな潮流が生まれつつある。江戸の言葉遊びと現代のビートが出会うとき、そこには時代を超えた“ことばの自由”が響き出す。 江戸の「言葉あそび」はリズムの芸...
「日本の昔の歌が“教材”に──アジアの学校で広がる日本語教育の音」  

「日本の昔の歌が“教材”に──アジアの学校で広がる日本語教育の音」  

「ふるさと」「赤とんぼ」「さくらさくら」──どこか懐かしい旋律に、日本語のやさしい響きが重なる。これらの日本の“昔の歌”が、いまアジア各地の学校で日本語教育の教材として活用されはじめている。 文字や文法だけでは伝えきれない「日本語のリズム」や「文化の背景」が、歌を通して自然に伝わる。そんな“音を介した言語学習”が、日本語学習者たちに新たな気づきと関心をもたらしているのだ。 言葉と音楽が出会うとき、学びは深まる...
「アナログレコードで聴く日本──海外バイヤーが探す昭和音源」  

「アナログレコードで聴く日本──海外バイヤーが探す昭和音源」  

カチリと針を落とす音、回転する黒い円盤、そしてスピーカーから流れ出すやわらかなノイズ混じりの音楽──いま、アナログレコードを通して「昭和の日本」を体感しようとする海外バイヤーが急増している。 シティポップ、歌謡曲、ジャズ、民謡、さらには映画音楽やCMソングまで──昭和期のレコードが、ヴィンテージではなく“今だからこそ欲しい音”として、世界のカルチャーシーンで脚光を浴びているのだ。 デジタル時代に“モノとしての音”を求める...
「英訳される“さくらさくら”──翻訳がひらく歌の世界」

「英訳される“さくらさくら”──翻訳がひらく歌の世界」

「さくら さくら 弥生の空に 見わたす限り──」。日本人なら誰もが耳にしたことのあるこの旋律は、日本の伝統的な童謡として知られ、国内では卒業式や合唱、音楽の教科書などを通じて広く親しまれてきた。 近年、この「さくらさくら」が英語をはじめ、さまざまな言語に翻訳され、海外の合唱団や音楽クラスで歌われる機会が増えている。日本独特の情緒をどう訳すか、そもそも“翻訳すること”にどんな意味があるのか──翻訳によってひらかれる「歌の世界」に、いま新たな関心が寄せられている。 歌詞の“意味”よりも“響き”を伝える...