「子どもが育つ“ハレの日”──日本の行事は人生の物語」

「子どもが育つ“ハレの日”──日本の行事は人生の物語」

七五三、初節句、入学式、お宮参り──日本の暮らしには、子どもの成長を祝う「ハレの日」が節目ごとに用意されている。普段の生活を意味する「ケ」に対し、「ハレ」は特別な日を意味する日本独自の考え方だ。 この「ハレの日」の積み重ねは、単なる行事の集合ではない。子ども自身にとっても、そして家族にとっても、“人生の物語”を形づくる貴重な時間である。 祝いの原点は「生きていること」そのもの 日本の子ども行事の根底には、「無事に生まれてきてくれてありがとう」「ここまで元気に育ってくれてありがとう」という、素朴で根源的な祈りがある。...
家の中では靴を脱ぐ “清潔ゾーン”という見えない結界

家の中では靴を脱ぐ “清潔ゾーン”という見えない結界

日本の家庭文化において「家の中では靴を脱ぐ」という習慣は、単なる生活様式にとどまらず、“清潔と不浄を分ける境界線”として、非常に重要な意味を持っている。この習慣は多くの外国人にとって驚きの対象であり、「なぜ?」という問いがしばしば投げかけられるが、その背後には日本独自の美意識や空間の感覚、そして“見えない結界”の考え方が息づいている。...
「“飾る・祈る・いただく”──行事にこめられた日本人の美意識」

「“飾る・祈る・いただく”──行事にこめられた日本人の美意識」

日本の年中行事には、単なる季節の区切りや伝統文化の継承以上に、ある深い“美意識”が流れている。それは、空間をととのえる「飾る」、目に見えないものに手を合わせる「祈る」、自然の恵みを五感で受け取る「いただく」という、一連の所作の中に宿っている。 飾り、祈り、食べる──この3つの営みは、暮らしの中で自然と繰り返され、特別な道具がなくても誰もが関われる。それは、日々の生活に“静かな美しさ”をもたらし、心をととのえる文化として、いま海外でも注目されている。 「飾る」──空間に意味を与える手仕事...
「和暦が教えてくれる“時のリズム”──暮らしに息づく日本の行事」

「和暦が教えてくれる“時のリズム”──暮らしに息づく日本の行事」

私たちが普段使っているカレンダーは、西洋に由来する「グレゴリオ暦」だが、日本にはもう一つ、自然の変化と共に生きる「和暦(旧暦)」という時間の流れがある。立春、啓蟄、秋分、霜降──四季をさらに細かく分け、天候や草花、動物の動きをとらえるその感覚は、数字では測れない“体感の暦”とも言える。 この和暦を基にした伝統行事の多くが、現代でも日本の暮らしに息づいている。時代や場所が変わってもなお、そこにあるのは「自然とともに生きる感覚」であり、それがいま再び注目されている理由でもある。 季節の“兆し”に気づく感性...
「五感で楽しむ日本の季節──伝統行事がつなぐ心」

「五感で楽しむ日本の季節──伝統行事がつなぐ心」

春は花の香り、夏は虫の音、秋は紅葉の色、冬は白湯のぬくもり──日本の四季は、ただ気温が移り変わるだけでなく、私たちの五感を通して深く味わうことができる。それをもっとも豊かに感じさせてくれるのが、古くから続く「伝統行事」の数々だ。 海外から訪れる旅行者や文化愛好者たちが、日本の季節の行事に惹かれるのは、美しさや珍しさだけではない。その背景にある“心をととのえる時間の流れ”に、強く共鳴しているのだ。 見て感じる──色と装いのリズム...