「銭湯から始まる交流──江戸の“公共文化”がパリの街角に」

「銭湯から始まる交流──江戸の“公共文化”がパリの街角に」

タオルを手に、見知らぬ人と同じお湯に浸かる。会話を交わさなくても、湯気の中で自然と気持ちが和らいでいく──そんな日本の「銭湯文化」が、いまフランス・パリの一部地域で、思いがけない広がりを見せている。 洗う・浸かるという機能だけではなく、“人が集い、緩やかに交わる場所”としての銭湯。実はそれは、江戸時代から続く日本独自の「公共文化」でもあった。そして今、都市化と孤立が進むヨーロッパで、その価値が再発見されている。 江戸の銭湯は“社交場”だった...
「シンプルにして豊か──“長屋スタイル”が海外ライフスタイル誌で再評価」

「シンプルにして豊か──“長屋スタイル”が海外ライフスタイル誌で再評価」

壁一枚を隔てて隣と暮らす、狭くて低い天井、共有の井戸やトイレ──かつての日本の「長屋」は、現代の快適な住宅とは正反対の存在かもしれない。だが今、その“長屋スタイル”が、ヨーロッパを中心とした海外のライフスタイル誌で静かに再評価され始めている。 現代的な意味での「ミニマル・コミュニティ」の源流として、長屋は見直されつつあるのだ。そこには、物質の豊かさではなく、“暮らしの温度”や“人との距離感”を大切にした価値観が息づいている。 長屋とは何か──日本庶民の原風景...
五感で感じる“江戸の暮らし”──海外から注目集めるミニマル文化

五感で感じる“江戸の暮らし”──海外から注目集めるミニマル文化

電気も冷暖房もなかった時代。それでも人々は、季節を感じ、自然と調和しながら丁寧に暮らしていた──そんな江戸時代の生活様式が、今、ヨーロッパや香港など海外の人々の関心を集めている。 大量生産・大量消費を前提とした現代の生活に対し、江戸の暮らしは“少ないもので、豊かに生きる”ミニマル文化の先駆けとして注目されているのだ。 風・光・音──暮らしの中にあった「自然との共鳴」...
“古い=価値ある”という新常識──昔おもちゃが香港の感性を刺激する

“古い=価値ある”という新常識──昔おもちゃが香港の感性を刺激する

色あせた木のけん玉、カラフルなガラスのおはじき、ふわりと空を舞う紙風船──どれも時代遅れのように見えるかもしれない。だが今、こうした日本の“昔のおもちゃ”が、香港の子どもや親たちの間で“新鮮で価値あるもの”として静かな注目を集めている。 高機能なデジタル玩具やカラフルなキャラクター商品が溢れる中、「シンプルでアナログなおもちゃ」が逆に心を惹きつけている。その背景には、“古いからこそ美しい”“不完全だからこそ想像できる”という新しい価値観がある。 “レトロ”がもたらす刺激と癒し...
けん玉がつなぐ日港文化交流──木の音が響く国際大会の舞台裏

けん玉がつなぐ日港文化交流──木の音が響く国際大会の舞台裏

“カコンッ”という心地よい木の音が、体育館に響く。歓声と拍手が重なり、観客が見守る中、ひとりの少年が難易度の高い技を成功させた。場所は香港・九龍にある中学校の講堂。開催されていたのは、日本と香港のけん玉愛好者が集う「けん玉国際交流大会」だ。 かつて昭和の子どもたちが遊んでいた木製のおもちゃ「けん玉」が、今では国境を越えて人と人をつなぐ“文化のかけ橋”になっている。日本発祥のこの伝統玩具は、どうして香港で、そして国際的な舞台でここまで愛される存在になったのだろうか。 「技」ではなく「心」で勝負する...
遊びは“シンプル”が美しい──香港の親が注目する日本の伝統玩具

遊びは“シンプル”が美しい──香港の親が注目する日本の伝統玩具

画面をタップするだけのゲームでは、すぐに飽きてしまう。ボタンを押すだけの電子おもちゃでは、驚きも感動も続かない。だからこそ今、香港の一部の親たちが注目しているのが、“シンプルなのに奥深い”日本の伝統玩具だ。 けん玉、こま、竹とんぼ、おはじき──どれも電池もアプリも不要。ただ、自分の体と感覚で遊ぶ。そこにあるのは、音や光で飾られた派手さではなく、「体験そのものの面白さ」だ。 「操作」ではなく「工夫」で遊ぶ...